脳卒中の外科
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50 巻, 4 号
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総  説
  • 小笠原 邦昭, 久保 慶高
    2022 年 50 巻 4 号 p. 243-250
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    123I-iomazenilは「外科的治療が考慮される部分てんかん患者におけるてんかん焦点の診断」のための SPECT 用トレーサとして開発された.本トレーサは,脳における神経受容体の中でも大脳半球に豊富に存在する中枢性ベンゾジアゼピン受容体に結合する.この結合メカニズムをもとに当施設では,脳血管障害に対する臨床応用を検討してきた.第一に,123I-iomazenil投与後早期および後期の画像は,それぞれ脳血流量および脳代謝量分布を表す.よって,後期画像を早期画像で割った画像は PET 上の脳酸素摂取率分布を示す.この画像は,頚動脈内膜剝離術後過灌流の出現を予知できる.次に,123I-iomazenil投与後後期画像は,不可逆的な認知機能低下あるいは神経学的脱落症状を示す.一方で,後期画像のトレーサ集積低下は可逆的なこともあり,血行再建術後のトレーサ集積の回復は,術後認知機能改善あるいは神経学的症状改善と相関する.

  • 堤 圭介
    2022 年 50 巻 4 号 p. 251-259
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    脳神経外科術後に合併する原因不明の視力障害(postoperative visual loss:POVL)をreviewし,orbital compartment syndrome(OCS)の関与について検討した.OCSは眼窩内圧の急激な上昇による眼科的救急疾患であり,POVLに眼痛や眼球運動障害・眼瞼/結膜浮腫などの眼窩症状を伴う場合には本病態の可能性が高い.既報69例中,他の診断名で記載された39例を含む47例(68.1%)は後方視的にOCSと考えられ,他の22例でも軽症OCSの可能性を完全には除外できない.OCSの治療は臨床診断に基づく外科的眼窩減圧術が基本であり,その緊急性から画像検査を先行させるべきではないとされている.一般に,発症後2時間を過ぎると減圧による良好な視力回復は期待できないが,それ以降でも効果が得られた報告もあり,本病態の認識と早期診断がきわめて重要である.開頭術後OCSの機序として,近年,皮弁の牽引に伴う間接的眼窩圧迫や眼窩静脈灌流障害を示唆する報告が散見されている.

原  著
  • 原 淑恵, 山下 晴央, 松尾 和哉, 後藤 大輝, 太田 耕平
    2022 年 50 巻 4 号 p. 260-265
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    破裂内頚動脈血豆状動脈瘤は,急性期直達手術,血管内手術,待機ともリスクが高い重症疾患である.急性期ステントを併用して血管内治療を行った.症例は,くも膜下出血で発症した6例で,grade Vが4例,grade IとIIが1例ずつであった.くも膜下出血診断後は速やかに降圧,鎮静,挿管人工呼吸管理とし,内頚動脈血豆状動脈瘤の診断後には,深鎮静で血圧を120mmHg未満に管理した.発症から72時間以内に,ステント併用コイル塞栓術を全身麻酔で行った.直前に抗血小板剤をローディングし,動脈瘤を中心にステントを留置,ステント外から瘤内に留置したマイクロカテーテルから径2mmあるいは1.5mmの柔らかいコイルを留置し,ステントをもう1つ重ねて留置した.術後は瘤の再増大に注意しながら脳血管攣縮治療を行った.3例では1度の塞栓術で再発なく経過,3例では追加塞栓を施行した.3カ月の時点で,grade IとIIの2例はmRS 0,grade Vの4例のうち1例はmRS 0の転帰良好であったが,他の3例はそれぞれmRS 3,4,6であった.死亡は再出血が原因であった.2週目以降に動脈瘤の再増大をきたした症例は1例のみであった.

    血管内治療においては,コイルは小さく柔らかいものを選択し,瘤壁にストレスをかけずにステント2本による整流効果に期待することが重要と考えられた.術後も鎮静を併用して厳重に血圧管理し,頻回に脳血管撮影でフォローする必要がある.ステント併用コイル塞栓術は再破裂予防に有効な可能性があり,直達手術の困難さを考慮すると選択肢の1つとして考えてもよいと思われた.

  • 原田 洋一, 山下 圭一, 柳川 太郎, 今井 大也, 江原 拓郎, 鳥居 正剛, 池上 方基, 林 基高, 佐藤 栄志, 畑山 徹, 河野 ...
    2022 年 50 巻 4 号 p. 266-273
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    疼痛のみで発症する椎骨動脈解離(VAD)は予後良好である.しかし,瘤状悪化するとくも膜下出血(SAH)を生じやすいとされ,治療介入の理由となる.疼痛発症VADの臨床的特徴について検討した.

    対象は疼痛発症VAD 112例.男性74例,女性38例.年齢は18-77歳(平均49歳).平均観察期間は38カ月.画像所見によりfusiform dilatation(FD),narrowing or occlusion(N/O),pearl and string sign(PSS)の3群に分類した.臨床経過,画像所見の変化,外科治療介入について検討した.

    観察期間中,2例にSAH,2例に虚血,4例に対側の解離が生じた.すべての症例は予後良好であった.

    112例は初回画像上FD 35例,N/O 31例,PSS 46例に分類された.経過中に画像上改善を示したのは69例,不変2例,悪化41例であった.瘤状悪化は17例で,1例で治療介入し残り16例を引き続き経時観察すると,改善/不変13例,閉塞1例,瘤状にさらに増大2例であった.瘤状にさらに増大した2例中1例は治療介入し,1例はその後画像上閉塞した.

    6例に治療介入した.内訳はSAH発症2例,解離進行1例,画像上悪化2例,瘤状に再増大1例であった.

    瘤状に悪化しても2週間経過後の破裂率は低く,画像上改善する例も多い.治療介入は慎重に検討すべきである.

  • 福光 龍, 今村 博敏, 後藤 正憲, 春原 匡, 松本 調, 福井 伸行, 大村 佳大, 秋山 智明, 福田 竜丸, 呉 浩一, 梶浦 晋 ...
    2022 年 50 巻 4 号 p. 274-279
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    脳動脈瘤の治療において,後頭蓋窩の脳動脈瘤は血管内治療が中心となりつつある.また,後頭蓋窩の大型脳動脈瘤は,一般に自然歴は不良で,治療成績も良好とはいい難い.当院では以前より後頭蓋窩の大型脳動脈瘤に対して血管内治療を行っており,今回,後頭蓋窩大型動脈瘤の血管内治療について治療成績の検討を行った.2010年4月から2018年10月まで当院で治療を行った脳動脈瘤のうち,10mm以上の非破裂椎骨動脈瘤,脳底動脈本幹部動脈瘤14病変(平均56.5歳,男性9名)を対象とした.動脈瘤の大きさは10-15mmが8例,15mm以上が6例であった.部位は脳底動脈が2例,椎骨動脈が12例であった.治療は動脈瘤の形態や対側の椎骨動脈の発達の程度に応じて行われ,動脈瘤内塞栓術が9例,母血管閉塞術が5例であった.治療後の動脈瘤の大きさの変化は縮小が1例,不変が9例,増大が4例であった.部位別にみると,脳底動脈瘤は2例中2例で増大,椎骨動脈瘤では12例中2例で増大していた.治療前の動脈瘤の大きさで検討を行うと,動脈瘤が15mm以上では6例中3例で増大,10mm以上15mm未満では8例中1例のみで増大がみられた(p=0.24).なお,動脈瘤の血栓化の有無では差はみられなかった.大型後頭蓋窩動脈瘤の血管内治療において,血栓化の有無にかかわらず15mm以上の動脈瘤の治療成績は不良であり,動脈瘤の増大,出血にかかわる病態の解明およびそれに応じた治療方針の確立が望まれる.

  • 大瀧 隼也, 原口 浩一, 髙橋 康弘, 野呂 昇平, 倉内 麗徳, 松浦 伸樹, 伊藤 丈雄
    2022 年 50 巻 4 号 p. 280-285
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    braided stent(LVIS)および laser cut stent(Enterprise/Neuro-form)によるコイル塞栓術においてステント構造の違いが塞栓成績に影響を与えるか,後方視的に検討した.

    2010年9月から2019年3月に治療された61例の wide-neck内頚動脈瘤(braided stent 15例,laser cut stent 46例)を対象とした.それぞれ治療直後およびfollow-upの血管撮影時におけるRaymond-Roy occlusion classification(RROC)を比較した.

    年齢の平均値(±SD)は60.3±11.7歳,83.6%が女性であった.治療直後のRROC class Iの割合はbraided stent 5/15例(33.3%),laser-cut stent 21/46例(45.6%)で有意差は認めなかった.治療後中央値 11.8カ月(7.4-13.2カ月)の血管撮像では,14/15例(93.3%)および23/46例(50.0%)とbraided stent群でclass Iが有意に多かった(p<0.05).手技に関連する合併症は両群間で有意差は認めなかった.

    ステント構造の違いは経時的な動脈瘤の塞栓状態改善に関係し,wide-neck内頚動脈瘤に対しbraided stentはlaser cut stentと比較して有用である可能性が示唆された.

症  例
  • 若狭 良成, 大久保 敦也, 佐藤 和奏, 清水 宏明
    2022 年 50 巻 4 号 p. 286-290
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    放射線治療後の頚部頚動脈狭窄の治療はいまだ議論がある.プラークが不安定かつ多量のため血栓内膜剝離術(CEA)により治療した症例を経験したので報告する.

    症例は70歳,男性.約20年前,下咽頭がんに対し手術・放射線治療(60Gy)を受けた.今回,右大脳散在性脳梗塞を発症,右総頚動脈狭窄を認めアテローム血栓性塞栓症と診断した.右総頚動脈プラークは不安定かつ量が多く,CASでは遠位塞栓をきたす可能性が高いと考えられた.CEAを行う方針としたが中枢側総頚動脈まで不規則にプラークが続くため,術中超音波を用いて最もプラークが薄い部位を確認し遮断部位を決定した.頚動脈の露出,プラークの剝離とも通常のCEAと同様に可能であり,大部分泥状となったプラークを中膜を温存するように摘出した.術後,MRAでも右総頚動脈の狭窄は解除され,神経学的合併症もなく経過したが,術後11日目に薬剤性横紋筋融解症に伴う急性腎不全をきたし,多臓器不全により83日目に亡くなった.本症例のように不安定で大量のプラークを認める場合,CEAも考慮すべきと思われた.

  • 梅㟢 有砂, 西山 徹, 朴 憲秀, 中條 敬人, 田中 優子, 松本 浩明, 寺田 友昭
    2022 年 50 巻 4 号 p. 291-295
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    椎骨動脈閉塞慢性期に,椎骨動脈からPICAへの側副血行路にflow related aneurysmを生じ,くも膜下出血をきたした1例を経験したので報告する.

    症例は51歳,男性.X年突然の左後頚部痛,めまいが出現し,救急受診.受診時,AICA症候群を認め,画像検査にて左椎骨動脈解離による閉塞,左小脳半球脳梗塞と診断した.抗血小板薬にて保存的加療を行い,左聴力低下のみ残存し,自宅退院となった.3年間の外来フォロー中のMRIでは,左椎骨動脈閉塞の再開通は認めなかった.X+3年,突然の嘔気,嘔吐,めまい,後頭部痛が出現し,JCS 200の状態で当院救急搬送された.頭部CTでくも膜下出血を認め,脳血管撮影では,左椎骨動脈閉塞,V3 portionからPICAへ吻合する蛇行した側副血行路を認め,その途中に3mm程度の動脈瘤を認め,同部位の破裂と診断した.開頭トラッピング術を行い,術後経過良好にて,第66病日にmRS 2で転院となった.

    椎骨動脈解離閉塞後,このようなまれな合併症を生じることがあるので慎重な経過観察が必要である.

  • 松﨑 粛統, 田中 将大, 赤須 功, 佐々木 裕亮, 山川 功太, 北川 亮, 吉田 浩貴, 酒井 淳, 沼澤 真一, 伊藤 康信, 渡邉 ...
    2022 年 50 巻 4 号 p. 296-300
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    急性脳底動脈閉塞症に対し血栓回収療法を行い脳底動脈の再開通が得られたが,両側小脳半球の急性脳腫脹を併発し,広範囲の後頭蓋窩外減圧術を要した症例を経験したので報告する.症例は83歳,女性.突然の意識障害を認め救急搬送された.脳底動脈の急性閉塞による急性期小脳梗塞の診断にいたり,血栓回収療法を施行した.mTICI 3の再開通が得られたが,その後脳幹梗塞を伴わずに両側小脳半球に急性脳腫脹をきたしたため外減圧術を施行した.逆U字型の大きな皮膚切開を設け,両側S状静脈洞に及ぶよう広範囲に後頭蓋窩を露出し,大後頭孔を含む十分大きな両側性のcraniectomyを行った.人工硬膜を用いて硬膜形成を行った.発症8カ月後には歩行訓練が可能な状態になり,modified Rankin Scale(mRS)スコア 4点で自宅に退院した.両側小脳半球に急性脳腫脹を認め,脳幹部に大きな梗塞を認めない場合は,逆U字の皮膚切開を行って十分に大きな後頭蓋窩開頭による硬膜形成を伴う外減圧術が必要である.

  • 熊谷 吉哲, 江頭 裕介, 榎本 由貴子, 岩間 亨
    2022 年 50 巻 4 号 p. 301-306
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    軽症の鈍的頭部外傷後に中大脳動脈解離を発症した1例を報告する.症例は63歳,女性.交通事故による軽症頭部外傷の5時間後に突然の右片麻痺と構音障害で発症.MRI,MR angiographyで左中大脳動脈領域の超急性期脳梗塞と中大脳動脈閉塞を疑われた.脳血管撮影検査では中大脳動脈に高度の狭窄とintimal flapの所見を認め,解離と診断した.直ちに血管内治療を行い,ステントを留置し病変の開存を得た.軽症の鈍的頭部外傷でも中大脳動脈解離をきたし得ることを想定すべきである.

  • Shanta THAPA , 田中 俊一, 米永 理法, 黒木 伸一, 永野 祐志, 樋渡 貴昭, 北薗 育美, 菅田 真生, 山畑 仁志, ...
    2022 年 50 巻 4 号 p. 307-312
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    頭蓋内軟膜動静脈瘻(pial arteriovenous fistula:pAVF)はまれな疾患で,頭蓋内血管奇形のうち1.6%程度と報告されている.流出静脈への強い血行力学的負荷により形成された静脈瘤は,mass effectから巣症状の原因となり,また致死的な頭蓋内出血につながる可能性があるため,治療を考慮する必要がある.われわれは症候性のpAVFに対し血管内治療と摘出術を行った1例を経験した.

    症例は15歳,女性.頭痛精査で視野障害と右後頭葉に最大径53mmの巨大腫瘤を指摘された.各種精査を行い,右後大脳動脈をfeederとし,横静脈洞に流出する血栓化静脈瘤を伴うpAVFと診断した.mass effect除去および根治のため複合治療を行う方針とした.まず血管内治療を施行し,shunt pointを中心に塞栓術を行い,flow reductionは得られたが新たなshunt flowも出現した.翌日,開頭術では塞栓術の効果もあり安全に摘出できた.新たな脱落症状なく自宅退院し,病理所見では肉眼的にfeeder,drainerが確認でき,シャントポイントと合致する部分で弾性板の消失を認めていた.

    pAVFの治療において血管内治療での報告が増えてきているが,特に静脈瘤によるmass effectを伴う症例に関しては,複合治療を行うことで安全に摘出することができる.

  • 猪俣 裕樹, 長峰 広平, 村田 貴弘, 八子 武裕, 堀内 哲吉
    2022 年 50 巻 4 号 p. 313-316
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    脳静脈性血管腫は海綿状血管腫にしばしば合併することが知られているが,脳動静脈奇形との合併は少ない.今回われわれは,同一病変内に脳動静脈奇形と海綿状血管腫を合併した症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は14歳男児で,11歳時に偶発的に左前頭葉病変を指摘されていた.3年間で病変の増大があり,症候性となったため,開頭摘出術を施行した.術中所見では脳動静脈奇形に近接した海綿状血管腫を認め,脳動静脈奇形と一塊にして摘出した.病理学的にも脳動静脈奇形と海綿状血管腫の所見であった.海綿状血管腫が脳動静脈奇形に併発することはまれであるが,若年のAVMの発達増大に伴って周囲脳組織の静脈還流障害から発生した可能性や,遺伝的な関与による偶発的な合併が推測された.

手術手技
  • 堤 圭介
    2022 年 50 巻 4 号 p. 317-322
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/14
    ジャーナル フリー

    ヤサーギルバヨネット型マイクロ鑷子の先端部を,薄い平坦な形状に加工した“フラットティップ”バヨネット型マイクロ鑷子(flat tip bayonet-type micro forceps:FTM)を試作し,脳動脈瘤手術時の鈍的剝離操作(blunt dissection:BD)における利点と問題点について検討した.瘤頚部近傍のBDや瘤壁と癒着した血管剝離の際,狭い間隙を開くための平面的な側圧を相対する方向へ加えながら,同時に先端縁による削ぐ操作を両側性に行うことができる点は有用であった.フラットな先端構造のためかぎられた術野へも挿入でき,一定の剝離スペースを得るために圧排される瘤や血管壁側の変形度が,通常のバイポーラ鑷子を用いる場合より小さくてすむ.動脈瘤頚部の後方スペースを形成・観察する目的でBDを行う場合,術野を開くために吸引管によるカウンタープレッシャーをかける必要がなく,剝離された間隙をFTMの間で確認しながら,深部での血腫・髄液吸引など吸引管本来の操作を比較的高い自由度で行うことができる.FTM先端の薄いフラット構造が組織側へ滑らかな面として接触できるため,静脈・穿通枝など繊細・脆弱な組織の直接把持が低侵襲に行える印象である.一方,先端部が薄くなった分,把持強度は低下している.種々の術中環境により,BD目的の各種手術器具が選択されているが,FTMの特性・弱点を把握したうえで,一定の局面における適切な使用は考慮されてよいと思われる.

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