2014 年 13 巻 p. 19-37
本研究では,日本人英語学習者が第二言語である英語の同綴異義語を視覚的に認知する際の意味アクセスを検証した.調査としては心理学実験ソフトによるプライミング手法を用いた語彙性判断課題と意味関連性判断課題を行った.語彙性判断課題ではプライム語としての意味的関連語が同綴異義語に対する語彙性判断の反応速度と正確さにどのように影響するのかを調査した.意味関連性判断課題では,ターゲット語としての同綴異義語とプライム語である意味的関連語の間における意味的関連性の強さを参加者に判断してもらうことで同綴異義語へのアクセスを検証することが目的とされ,評定スコアと反応速度が分析された.実験の結果として,語彙性判断課題においてはプライム語による有意な影響が見られなかったのに対して,意味関連性判断課題においてはプライム語としての意味的関連語の効果が統計的に有意であった.全体として,実験の結果から日本人英語学習者は英語の同綴異義語の一つの意味にたいして強くアクセスをする傾向があることが明らかになった.また,単語の認知処理は語彙性判断課題と意味関連性判断課題の二つのタスク間では異なっている可能性が示唆された.