Second Language
Online ISSN : 2187-0047
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13 巻
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特別寄稿
研究論文
  • ―プライミング実験による心理言語学的研究―
    三木 浩平
    2014 年13 巻 p. 19-37
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    本研究では,日本人英語学習者が第二言語である英語の同綴異義語を視覚的に認知する際の意味アクセスを検証した.調査としては心理学実験ソフトによるプライミング手法を用いた語彙性判断課題と意味関連性判断課題を行った.語彙性判断課題ではプライム語としての意味的関連語が同綴異義語に対する語彙性判断の反応速度と正確さにどのように影響するのかを調査した.意味関連性判断課題では,ターゲット語としての同綴異義語とプライム語である意味的関連語の間における意味的関連性の強さを参加者に判断してもらうことで同綴異義語へのアクセスを検証することが目的とされ,評定スコアと反応速度が分析された.実験の結果として,語彙性判断課題においてはプライム語による有意な影響が見られなかったのに対して,意味関連性判断課題においてはプライム語としての意味的関連語の効果が統計的に有意であった.全体として,実験の結果から日本人英語学習者は英語の同綴異義語の一つの意味にたいして強くアクセスをする傾向があることが明らかになった.また,単語の認知処理は語彙性判断課題と意味関連性判断課題の二つのタスク間では異なっている可能性が示唆された.

  • 野地 美幸
    2014 年13 巻 p. 39-56
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    本研究は,類型的に異なるL1背景を持つ(L1韓国語・英語・中国語の)L2日本語学習者が日本語の主格標示をどのように獲得するのかを調べている.発話コーパス資料の分析の結果,日本語の主格標示の獲得の過程においては,一貫してどの学習者群も主格標示はほぼ完璧で,格の誤りは極めて限定的であった.また,特に主格目的語構文の目的語への主格標示に関しては獲得の早い段階からL1の影響が見られた.こうした発見は,早期L2文法における機能範疇Tの存在を示唆するだけでなく,それがL1からの転移によるものであることを示唆している.もう一つの重要な発見はL1英語の日本語学習者が日本語児と同様に主格目的語構文の獲得過程において「を」であるべきところで「が」を過剰生成したことであり,これはパラメターの再設定を示唆する.したがって,最小構造 (Minimal Trees)仮説 (Vainikka & Young-Sholten, 1994)や完全アクセス (Full Access)仮説 (Epstein, Flynn & Martohardjono, 1996)ではなく,むしろ完全転移・完全アクセス (Full Transfer/Full Access)仮説 (Schwartz & Sprouse, 1994)が支持される.

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