抄録
環境基本法と鳥獣保護法には野生動物管理がうたわれている。しかし管理の基本である捕獲個体群のモニタリングや分析はほとんど行われていない。文化財保護法で管理されているニホンカモシカでは捕獲個体群のモニタリングが継続して行われ、コホート解析の結果、加入量、齢別生存率、個体群の動態など、生活史の概要がある程度把握されるようになってきた。カモシカ以外の大型哺乳類の管理においても捕獲個体の性・年齢構成の分析は進められるべきである。これらのモニタリングは、ニホンジカでは主に個体群の増加率を抑制する管理の基本戦略の構築に、イノシシでは効果のない幼獣の捕獲の回避に、そしてツキノワグマでは保全基準の作成に、それぞれ貢献するだろう。