抄録
海藻を含む多くの植物は、複相(2n)の多細胞の体である胞子体だけでなく、単相(1n)の多細胞の体である配偶体を持ち、有性生殖を通じてこれらの世代を交代する生活環を示す。アオサ藻綱に属する海産緑藻類は、世界中の海岸の一次生産者として沿岸生態系を支えている。アオサ藻綱には、主に6つの有性生殖を行う目が知られるが、これらの目間や目内で生活環が多様化している。生活環の違いは、古くから環境の違いや生態学的ニッチなどとの関連が疑われている。しかし、緑藻では生活環の識別が難しい種も多く、なぜ、どのようにして緑藻の生活環が多様化したのかは十分に理解されていない。本稿では、海産緑藻の生活環の多様性を概観し、それらの生活環の生態学的な特性とその違いについて簡単に述べるとともに、生活環の多様化を進化的、生態学的な観点から理解する上でのいくつかの課題について触れる。