繊維製品消費科学
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冷涼環境下における足部温水浴が身体に及ぼす影響
汪 清田村 照子永井 伸夫閏間 正雄本間 博
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2019 年 60 巻 11 号 p. 1016-1024

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抄録

本研究の目的は,冷涼環境下における足部温水浴が,人体の体温調節反応および自律神経活動に及ぼす影響を,冷え群と非冷え群に分けて調査,検討することである.被験者は健康な若年女性で,寒冷時足趾部皮膚温が低下しやすい冷え群6 名と冷えにくい非冷え群7 名を対象に,20℃,50%RH の人工気候室(着衣0.4clo)で,42℃,15 分間の足温浴を行ったW 条件と,行わなかったC 条件での,舌下温,皮膚温,指尖部皮膚血流量,背部発汗量及び心拍変動を測定した.温浴により舌下温と指尖部皮膚温は両群とも有意に低下し,低下度は冷え群で大であった.足部・下腿部皮膚温及び平均皮膚温は両群とも有意に上昇した.指尖部血流量は,冷え群でC 条件よりW 条件で有意に減少した.自律神経活動については,有意な変化はみられなかった.冷涼環境下における足温浴は,生理的に深部体温の低下を招くこと,特に末梢が冷えやすい冷え体質の人で,そのリスクが大きいことが示唆された.

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© 2019 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
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