日本顎口腔機能学会雑誌
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学術大会抄録
顎関節炎による広範性疼痛抑制系変調作用の性差
李 淳大原 絹代Ian Meng岩田 幸一飯沼 利光
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2022 年 29 巻 1 号 p. 20-21

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抄録

 I.目的

女性は男性に比べ顎関節症に起因する慢性痛の発症率が高いといわれ,顎関節症と診断される割合と医療機関での受診率は,男女比でそれぞれ3:1,8〜9:1と報告されている1).顎関節組織の変形を特徴とする変形性顎関節症は,顎関節症患者の約40%に認められ,女性の有病率は男性に比べ約2倍程度であり,重症化する確率も高いと報告されている.また,顎関節症に関連した全身の慢性痛を経験する患者も女性に多いと報告されているが,慢性痛発症に対する性差が生じるメカニズムについてはほとんど明らかにされていない.顎関節症の罹患し易さと重症化の原因の一つとして内因性疼痛調節機構,特に広範性疼痛抑制系(DNIC)が慢性疼痛発症に関係するという報告2)があり,DNICが慢性痛発症に対する性差の誘因である可能性が高い.しかしながら,慢性痛発生に対するDNICおよびその性差に関する研究はほとんど見当たらず,詳細は不明である.そこで本研究では,雌雄ラットの顎関節腔にモノヨード酢酸(MIA)を注入した変形性顎関節症モデルラットを作製し,行動学的,電気生理学的手法を用いて顎関節炎による広範性疼痛抑制系変調作用の性差を解明することを目的とした.

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© 2022 日本顎口腔機能学会
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