日本顎口腔機能学会雑誌
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29 巻, 1 号
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依頼論文
学術大会抄録
  • 吉野 旭宏, 冨士 岳志, 増田 裕次
    2022 年 29 巻 1 号 p. 14-15
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/11/22
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    I.目的

    これまでの研究で,咀嚼時に外耳道にひずみが生じること1)を利用し咀嚼回数を計数する方法を開発した2).しかし,既製の耳栓を応用したセンサーでは,測定できない被験者もいた.そこで,本研究では,外耳道の印象採得を行い,個々の外耳道の形態に合わせた個人用耳栓型センサーをCAD/CAMを応用することで製作し,新たな咀嚼回数計数装置の有用性を検討した.

  • 落合 勇人, 板 離子, 真柄 仁, 辻村 恭憲, 井上 誠
    2022 年 29 巻 1 号 p. 16-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/11/22
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    I.目的

    加齢や種々の疾患に伴う唾液分泌の低下は咀嚼・嚥下運動を困難にさせる.一方,食品成分や物性もまた唾液分泌や咀嚼嚥下運動を変化させる要因である.近年パン等の小麦粉製品による窒息事故の報告が散見されるが,パン摂取時に口腔乾燥をはじめとする口腔環境や,個々の食品物性の違いが摂食嚥下動態に与える影響は明らかではない.本研究では,唾液分泌低下がもたらすパン咀嚼嚥下運動への影響を検討するために,種々のパンとスプレッド(マーガリン)を用いて,硫酸アトロピン内服前後におけるパン摂取時の官能評価及び生体記録を行った.

  • 野口 毅, 中村 史朗, 中山 希世美, 望月 文子, 壇辻 昌典, 井上 富雄
    2022 年 29 巻 1 号 p. 18-19
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/11/22
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    I.目的

    哺乳動物は生後初期,吸啜によって栄養を得るが,その後固形物の咀嚼へとシフトする.この時期には,末梢の感覚受容器,咀嚼筋,骨格等の口腔諸器官の発達とともに顎運動制御に関与する中枢神経機構も大きく変化すると考えられているが,その発達メカニズムは不明な点が多い.

    吸啜および咀嚼の基本的な顎運動パターンは,脳幹に存在するパターンジェネレーターで形成され,プレモーターニューロンを介して三叉神経運動ニューロンへと伝えられる.これらの入力は三叉神経運動ニューロンで最終的な運動指令となり咀嚼筋へと伝達される1).閉口筋および開口筋を支配する三叉神経運動ニューロンは,グルタミン酸を介した興奮性の入力とGABAおよびグリシンを介した抑制性入力を受ける.この抑制性シナプス入力は,顎運動の制御において重要な役割を果たしている2).先行研究では,閉口筋および開口筋運動ニューロンにGABA性およびグリシン性の抑制性シナプス後電流が誘発され,これらの性質が生後7日齢を境に大きく変化することが報告されている3, 4).しかし,閉口筋および開口筋運動ニューロンへの抑制性シナプス伝達が生後どのように変化するのか,またその発達様式が運動ニューロン間で異なるのか,未だ不明である.

    本研究は,生後2〜17日齢の幼若期ラットを用いて,閉口筋および開口筋運動ニューロンに誘発されるシナプス後電流をシナプス伝達様式の指標として記録し,抑制性シナプス伝達の生後発達変化を解析した.

  • 李 淳, 大原 絹代, Ian Meng , 岩田 幸一, 飯沼 利光
    2022 年 29 巻 1 号 p. 20-21
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/11/22
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     I.目的

    女性は男性に比べ顎関節症に起因する慢性痛の発症率が高いといわれ,顎関節症と診断される割合と医療機関での受診率は,男女比でそれぞれ3:1,8〜9:1と報告されている1).顎関節組織の変形を特徴とする変形性顎関節症は,顎関節症患者の約40%に認められ,女性の有病率は男性に比べ約2倍程度であり,重症化する確率も高いと報告されている.また,顎関節症に関連した全身の慢性痛を経験する患者も女性に多いと報告されているが,慢性痛発症に対する性差が生じるメカニズムについてはほとんど明らかにされていない.顎関節症の罹患し易さと重症化の原因の一つとして内因性疼痛調節機構,特に広範性疼痛抑制系(DNIC)が慢性疼痛発症に関係するという報告2)があり,DNICが慢性痛発症に対する性差の誘因である可能性が高い.しかしながら,慢性痛発生に対するDNICおよびその性差に関する研究はほとんど見当たらず,詳細は不明である.そこで本研究では,雌雄ラットの顎関節腔にモノヨード酢酸(MIA)を注入した変形性顎関節症モデルラットを作製し,行動学的,電気生理学的手法を用いて顎関節炎による広範性疼痛抑制系変調作用の性差を解明することを目的とした.

  • 杉本 大輔, 佐々木 誠, 佐々木 颯真, 玉田 泰嗣, 戸原 玄
    2022 年 29 巻 1 号 p. 22-23
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/11/22
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    I.目的

    嚥下と呼吸の協調パターンを観察することは,誤嚥・窒息のリスク評価や,安全な食の場を提供する上で重要である.しかし,これまでに開発されている食事見守りシステムの多くは,嚥下検出に特化したものであり,嚥下前後の呼吸相や呼吸変化を自動検出し,嚥下・呼吸の協調パターンを評価しうるウェアラブルシステムは確立されていない.

    そこで本研究では,PVDF(Polyvinylidene Fluoride film)センサを用いたヘッドセットタイプのウェアラブルシステムを開発し,呼吸検出精度の検証と,嚥下・呼吸の協調パターン解析の基礎的検討を行った.

  • 吉永 司, 多田 耕平, 野崎 一徳, 飯田 明由
    2022 年 29 巻 1 号 p. 24-25
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/11/22
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    I.目的

    歯茎摩擦音[s]とは子音の一種で,日本語の「シ」を除くサ行の発音に用いられる.[s]を発音する際には,舌先端を歯茎に近づけ,狭窄流路を形成することによりジェット乱流を生成し,そのジェット乱流が上顎切歯や口唇に当たることにより,音が発生することが知られている.そのため,歯列補綴治療による総義歯上顎中切歯の歯軸角度調整1)や,顎変形症の外科的矯正治療による咬合状態の変化2)が発音へ及ぼす影響など報告されている.

    この摩擦音[s]の音響的な特徴を決める口腔形状の要素を調べるため,解剖学的形状を単純化したモデルによる研究が行われてきた3, 4).これらのモデルは,発音時の医療画像から口腔前部の舌や上下前歯の長さ・高さなどのパラメータを抽出し,矩形流路によって表現される.また我々のグループでは,上顎中切歯の歯軸角度が[s]の音響的特徴に与える影響を予測するため,角度が変更可能なモデルを提案し,実際の口腔形状から発生する音と比較してきた5)

    しかし,これまでのモデルでは[s]の音量の減少は予測できるものの,スペクトル形状を予測できる精度は得られなかった.本研究では,口腔形状の左右非対称性という新たな要素をモデルに入れることで,スペクトル形状までより良く予測できる新たな口腔モデルを提案する.

  • 板 離子, 真柄 仁, 辻村 恭憲, 井上 誠
    2022 年 29 巻 1 号 p. 26-27
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/11/22
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    I.目的

    等尺性の舌挙上運動は,舌運動訓練として幅広く臨床に応用されている.我々は過去に,10秒間の持続的な舌圧測定時の舌骨筋活動特性を分析し,舌圧は維持される一方で,舌骨筋群の活動量は経時的に増加すること,各筋電位の平均周波数の徐派化が認められること,更に舌骨喉頭複合体の代償的な挙上が認められることを報告した1).本研究では,さらに舌筋活動を同時記録することにより,舌圧発揮時における顎口腔領域の筋活動を定量化比較し,その特徴を検証することを目的とした.

  • 浅見 和哉, 村上 小夏, 三浦 寛貴, 小山 志保, 藤澤 政紀
    2022 年 29 巻 1 号 p. 28-29
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/11/22
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    I.目的

    ブラキシズムの評価方法には本人からの自己申告に基づく判定(possible bruxism),舌・頰の圧痕,歯の咬耗などの臨床所見に基づく判定(probable bruxism),ポリソムノグラム,筋電図,生態学的瞬間評価(EMA:ecological momentary assessment)などの機器的評価に基づく判定(definite bruxism)の3種類がある1).しかし,覚醒時ブラキシズム(AB:awake bruxism)は検査方法,検査値の評価基準,診断,治療効果の評価など多くの面で未だコンセンサスを得られるには至っていない.本研究では筋電計により覚醒時の咀嚼筋筋活動を記録するとともにブラキシズム現象のEMAを併せて記録し,両データを照合しprobable bruxismとdefinite bruxismを組合せたグループ比較の検証およびdefinite bruxismにおけるカットオフ値の妥当性を検討した.

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