Ⅰ.目的
ブラキシズムは,睡眠時ブラキシズム(SB)と日中覚醒時のブラキシズム(AB)に分けられる.SB同様,ABの診断・評価には咀嚼筋筋電図検査が有用と考えられる.我々は,日中覚醒時の咬筋筋電図(d-EMG)の波形発現数などの各種パラメータは,日中のくいしばりの自覚群と自覚なし群間で有意な差はなく,両者の度数分布のオーバーラップは大きいことを明らかにした1)が,d-EMG波形の実態には未だ不明な点が多い.SB波形については,過去の研究2)で変動の指標として変動係数(標準偏差/平均値)を用い,1時間当たりの波形数やエピソード数の日間変動が報告されている.一方,d-EMG波形の日間変動に関してはこれまでほとんど検討されていない.
そこで今回は,d-EMG波形の発現数,波形積分値の日間の変動を上述のSBの日間変動の研究2)と同様に変動係数を用いて明らかにすることとした.