日本顎口腔機能学会雑誌
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学術大会抄録
若年健常者の口腔のテクスチャー感受性と摂食動作の関連:ざらつき感覚と咀嚼制御の関連
伊藤 有希田中 恭恵大道寺 明也服部 佳功
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2023 年 30 巻 1 号 p. 28-29

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抄録

Ⅰ.目的

食べ物のテクスチャーは,おいしさと摂食嚥下の安全に関わるが,テクスチャーを捉える口腔感覚の低下が摂食動作に及ぼす影響は明らかになっていない.食品の物性が変化すると,咀嚼時の種々の運動パラメータも変化することが知られており1),ヒトは食品のテクスチャーに応じて,摂食動作を調節している.テクスチャーは食品の種類だけでなく,咀嚼の進行に伴って変化するので,テクスチャー感覚の低下は,食品や咀嚼段階に応じた咀嚼時の下顎運動や筋活動の調節や,咀嚼された食塊が嚥下に適した状態であるかの判断に影響を及ぼすと推察される.

我々は,第68回学術大会においてざらつき感覚の低感度群は高感度群と比較して,マッシュポテトを嚥下するまでの咀嚼数が有意に大きいことを報告した.ざらつき感覚が低下すると,嚥下に適した食塊のテクスチャーを適時に認知できず,マッシュポテト摂取時の過多な咀嚼を引き起こしている可能性が示唆された.

本研究では,ざらつき感覚と咀嚼制御の関連を明らかにすることを目的に,かたさや咀嚼に伴うテクスチャー変化の特徴が異なる3種類の食品を用いて,咀嚼回数と咀嚼運動が食品や咀嚼段階に応じて調整されているかどうかを調査し,ざらつき感覚の識別能力に基づいて比較検討した.

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© 2023 日本顎口腔機能学会
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