2026 年 32 巻 1 号 p. 112-114
Ⅰ.目的
厚生労働省の令和4年(2022)人口動態統計によると,高齢者における「気道閉塞を生じた食物の誤えん」による死亡者数は4696人と近年増加傾向にあり,現在の誤嚥防止策に加えて新たな対策の導入が急務である.高齢者の咀嚼機能と嚥下には密接な関係があり,咀嚼周期の乱れが誤嚥リスクを高めること,また,誤嚥を防ぐためには,呼吸・咀嚼・嚥下のタイミングを精密に調整する必要性が報告されている1).
咀嚼動作を解析する手法として,近年ではマーカーレスモーションキャプチャ技術を応用した手法を用いた研究が行われている2).しかし,顎運動解析装置を用いた咀嚼動作解析には高価な機器が必要であり,導入コストの高さが臨床現場での応用の障壁となっている.そこで本研究では,低侵襲かつ簡便な咀嚼動作解析システムの構築を目指し,深度カメラとマーカーレスモーションキャプチャによる摂食動作判別アルゴリズムの開発を目的として,本システムの摂取・咀嚼・嚥下動作の判別性能について検討した.