日本顎口腔機能学会雑誌
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咬合力測定に基づく咬合診断の可能性
服部 佳功佐藤 智昭
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2005 年 12 巻 1 号 p. 12-16

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抄録
咬合力測定の進歩によって正常咬合の実像が明らかになり, 両側対称で後方に偏る咬合力分布, 歯軸方向への咬合力負荷, 咬合平面にほぼ直交して作用する咬合力合力など, 正常咬合の要件に含められるべき項目が抽出されるに至った.これらの多くは, 既に咬合学の成書が正常咬合の要件に含めて記載してきたものと一致する.しかし, たとえば正常咬合の要件とされてきた歯軸方向への咬合力負荷が実際には咬合接触面数の多い後方臼歯に限って認められるに過ぎないなど, 実像の解明が旧来の見解の修正を迫るところも少なくない.正常咬合の要件を理想咬合のそれと峻別し, 咬合診断の基準を明確にしてゆくためには, さらなる実像の集積が求められるといえよう.この小論では, 近年の咬合力解析によって明るみに出された正常咬合の実像をご紹介し, 咬合力測定に基づく咬合診査の可能性に言及したい.
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