日本顎口腔機能学会雑誌
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12 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • ―咬合診断法確立に向けた戦略―
    中野 雅徳
    2005 年 12 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    咬合は歯学および歯科臨床の根幹をなすものである.適切な咬合を有することはより高いQOLを維持するために重要である.しかし望ましい咬合については未解明な点も多く, われわれは科学的に裏付けられた系統的な咬合診断法を持っていない, このシンポジウムでは, 4名のシンポジストがそれぞれの専門的立場から咬合検査法とそれぞれの背景にある望ましい咬合接触に対する考え方について講演を行った.この原稿において, 私は咬合の客観的評価の重要性を最初に強調し, 咬合を5つの要素に分類した.すなわち, 咬頭嵌合位の位置, 咬頭嵌合位における咬合接触の安定性, 滑走運動を誘導する咬合接触部位, 咬頭嵌合位から, あるいは咬頭嵌合位への滑走運動を誘導する方向, および咬合平面と歯列の位置, 彎曲, 滑らかさである, われわれは, それぞれの要素を客観的に評価することができるパラメータを選択しなければならない.そして, 客観的に評価された種々の咬合状態と顎機能, 全身機能およびQOLとの関係を研究と臨床の場で検証する必要がある, 最終的には, 正常から異常までの種々の咬合状態と機能やQOLとの関係についてのデータベースを構築しなければならないと考えている.
  • 加藤 均, 徳田 彩子, 三浦 宏之, 岡田 大蔵, 星野 紘子, 長谷川 成男
    2005 年 12 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    日々の臨床で修復する機会が多い第1大臼歯について, 咬合面各部の形態の機能的意義を明らかにするために, ミクロ的には噛みしめ時や咀嚼時における歯の変位様相を測定し, マクロ的には咀嚼時の主機能部位および食物動態を観察した.
    その結果, 機能的咬合面形態を実現するための3要素を導くことができた.
    すなわち,
    1. 咬頭嵌合位を維持するための咬合接触
    2. 咀嚼時に硬い食品を粉砕するための主機能部位
    3. 食塊形成を円滑に営むための被蓋
    である.
    第1大臼歯が咬頭嵌合位を維持するための望ましい咬合接触としては, 下顎臼歯の頬側咬頭が上顎臼歯の咬合面窩に嵌合した上で, 噛みしみ時に歯軸方向へ咬合力が作用するような咬頭頂付近での1点以上の咬合接触が必要である.さらに, 咬頭嵌合位における咬合接触像を詳細に検討した結果, 第1大臼歯が主機能部位として食物の粉砕時に中心となって機能するためにも同様の咬合接触が重要であることが明らかとなった.
  • 服部 佳功, 佐藤 智昭
    2005 年 12 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    咬合力測定の進歩によって正常咬合の実像が明らかになり, 両側対称で後方に偏る咬合力分布, 歯軸方向への咬合力負荷, 咬合平面にほぼ直交して作用する咬合力合力など, 正常咬合の要件に含められるべき項目が抽出されるに至った.これらの多くは, 既に咬合学の成書が正常咬合の要件に含めて記載してきたものと一致する.しかし, たとえば正常咬合の要件とされてきた歯軸方向への咬合力負荷が実際には咬合接触面数の多い後方臼歯に限って認められるに過ぎないなど, 実像の解明が旧来の見解の修正を迫るところも少なくない.正常咬合の要件を理想咬合のそれと峻別し, 咬合診断の基準を明確にしてゆくためには, さらなる実像の集積が求められるといえよう.この小論では, 近年の咬合力解析によって明るみに出された正常咬合の実像をご紹介し, 咬合力測定に基づく咬合診査の可能性に言及したい.
  • 田中 昌博, 龍田 光弘, 川添 堯彬
    2005 年 12 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    咬合は粘弾性体同士の接触であるとの視点から, 有歯顎者における正常な咬頭嵌合の診断基準を提案した.基準を満たすかどうか, 両側臼歯の同時で, 均等な力での接触を診断する上で, TスキャンIIは咬合接触の時系列分析できる唯一の機器である.
    今後, 信頼性が高い検査術式を標準化して, 診断的有用性を高める必要がある.
  • 郡 由紀子
    2005 年 12 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    本方法は, 歯列の3次元形態データと6自由度顎運動データを用いてグラフィックターミナル上で顎運動を再現し, 任意の顎位における上下顎の咬合小面間距離を算出, 画面上に表示することにより, 機能運動中の咬合接触あるいは離開の状態を評価するものである.このような方法の最大の利点は, 臨床的には観察することが困難な機能運動中の咬合状態を評価することが可能であるという点にある.本システムが咬合の可視化装置として臨床で活用されるようになれば, クラウンの咬合調整から咬合の再構成にいたるまで, 顎運動に調和した咬合を与えるための最も有効な診断, 治療支援となることが期待できる.
  • 志賀 博, 小林 義典, 荒川 一郎, 横山 正起, 雲野 美香
    2005 年 12 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    目的: 食品の味の違いが咀嚼時の脳内血流に及ぼす影響を明らかにする目的で, 健常者に味の異なるグミゼリーを咀嚼させた時の脳内血流について分析した.
    方法: 健常者10名 (男性5名, 女性5名, 22~34歳, 平均年齢24.8歳) に味の異なる3種類のグミゼリー (普通, 甘い, 苦い) を主咀嚼側で20秒間咀嚼させた時の両側の脳内血流を浜松ホトニクス社製近赤外分光装置NIRO-300を用いて記録した.なお, 近赤外分光装置の測定プローブは, 照射部と受光部の距離を4cmとし, 両側の咀嚼運動野相当部の皮膚上に毛髪をかき分けて, 開閉口運動に最も反応する位置に設定した.分析は, はじめに各グミゼリーの咀嚼前, 咀嚼中, 咀嚼後の脳内血流の経時的変化を調べた.次いで, 咀嚼前と咀嚼中との脳内血流の変化量について, 食品間で比較した.
    結果: 脳内血流は, いずれのグミゼリーでも咀嚼中に有意に増加したが, 咀嚼終了後に減少し, 咀嚼前の状態に回復する傾向を示した.また, 脳内血流量は, 苦いグミゼリー咀嚼時が最も少なく, 甘いグミゼリー咀嚼時, 普通のグミゼリー咀嚼時の順に多くなり, 食品間に有意差が認められた.
    結論: 脳内血流は, 咀嚼運動によって増加すること, また食品の味の違いは, 脳内血流の増加の大小に影響を及ぼすことが示唆された.
  • Part III. Articulator adjustment for the lateral movements
    Shinichi Hara, Takehiro Otake, Jun Tsuruta, Izumi Arai, Akihiro Mayana ...
    2005 年 12 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    It is supposed that on the reproduction of lateral movements, the articulator settings of the Condylar type articulator is different from the condylar pathways of the human jaw. The Arcon type articulator shows the same values as the human jaw. It is not clear, however, about the differences of the articulator settings between the Arcon and the Condylar type articulator. In the present study, the angular differences on each adjustable mechanism are analyzed by reproducing the same lateral movement on the Arcon type articulator; which has all guiding systems on the upper member, and the Condylar type articulator; which has all guiding systems on the lower member. The lateral movement is reproduced on the Arcon type using the mandibular movement cubic model three-dimensionally. The lateral movement of the Condylar type is reproduced by calculating the intercuspal position of the Arcon type relative to the lateral occulusal position of the Arcon type. The differences of the articulator settings between both articulators are calculated and compared.
    The results are as follows;
    The angular differences of the articulator settings between the Condylar and the Arcon type articulator are not the same on each adjustable mechanism. The maximal difference of the non-working side condylar guidance is about 4°on the horizontal projective angle and 1°on the sagittal projective angle, while the maximal difference of the working side condylar guidance is about 2°on the horizontal and frontal projective angle. In addition, the changing of the sagittal projective angle on the non-working side condylar guidance affects the articulator settings of the Condylar type articulator. It is necessary to consider the angular differences from the condylar pathways of the human jaw, when evaluating the lateral movement by the Condylar type articulator.
  • 徳冨 順子, 齊藤 一誠, 早崎 治明, 岩瀬 陽子, 山崎 要一, 野中 和明
    2005 年 12 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 乳歯列期正常咬合児と反対咬合児の下顎前方滑走運動における下顎切歯と顆頭の運動を比較し, 反対咬合児の下顎運動機能の特徴を明らかにすることである。
    被験児は正常咬合を有する乳歯列期小児 (以下, 正常咬合児群) 20名と乳歯列期前歯部反対咬合を有する小児 (以下, 反対咬合児群) 15名とした。6自由度顎運動測定装置を用い, 各被験児において下顎前方滑走運動 (以下, 前方滑走運動) を各3回計測した。解析点は下顎乳中切歯点 (以下, 切歯点) , 左右の解剖学的顆頭中央点 (以下, 顆頭点) とした。解析項目は, 上下, 左右, 前後の運動範囲および三次元直線距離とし, さらに切歯点と顆頭点の運動の関連性を明らかにするため, これら2つの解析点間の相関係数を求めたところ, 以下の結論を得た。
    1) 反対咬合児群の切歯点と顆頭点の運動範囲や距離は, 正常咬合児群と比較して有意に小さかった。
    2) 正常咬合児群, 反対咬合児群ともに前方滑走運動時の切歯点と顆頭点の運動範囲に高い相関が認められた。
    3) 反対咬合児群は, 個人間相関係数が個人内相関係数よりも大きい傾向が認められ, 正常咬合児群とは様相が異なっていた。
  • 坂東 永一
    2005 年 12 巻 1 号 p. 46-47
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 庄内 康晴, 志賀 博, 小林 義典
    2005 年 12 巻 1 号 p. 48-49
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 本間 済
    2005 年 12 巻 1 号 p. 50-51
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 石川 輝明, 坂東 永一, 薩摩 登誉子, 重本 修伺, 北村 万里子, 中野 雅徳, 重本 貴穂, 郡 元治
    2005 年 12 巻 1 号 p. 52-53
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 岡安 一郎, 山田 好秋, 藤井 弘之, 大井 久美子
    2005 年 12 巻 1 号 p. 54-55
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • ―管楽器演奏時の咀嚼筋活動―
    後藤田 章人, 山口 泰彦, 小松 孝雪, 岡田 和樹, 松樹 隆光, 三好 貴之
    2005 年 12 巻 1 号 p. 56-57
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 越野 寿, 平井 敏博, 細井 紀雄, 清野 和夫, 市川 哲雄
    2005 年 12 巻 1 号 p. 58-59
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 志賀 博, 小林 義典, 横山 正起, 雲野 美香, 大内 真吾, 藤井 重壽
    2005 年 12 巻 1 号 p. 60-61
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 北岡 裕子, 郡 由紀子, 山口 公子, 西野 瑞穂
    2005 年 12 巻 1 号 p. 62-63
    発行日: 2005/10/30
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
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