日本歯科保存学雑誌
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新規フロアブルレジンの表面性状観察 : 各種ドリンク浸漬後の変化
韓 臨麟福島 正義興地 隆史
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2009 年 52 巻 2 号 p. 184-189

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抄録

本研究では,酸性もしくはアルコール性ドリンク浸漬後の表層部粗糙化を指標として,フッ化物非含有かつフィラー含有率を向上させた新規フロアブルレジンの表面安定性を,既存の製品と比較しながら評価した.供試材料として,新規フロアブルレジンUniFil MI Flow(MIF,ジーシー),既存のフロアブルレジンとしてUniFil LoFlo Plus(ULP,ジーシー),Clearfil Majesty LV(MJLV,クラレメディカル),Estelite Flow Quick(EFQ,トクヤマデンタル),さらに対照として従来型コンポジットレジンClearfil Majesty(MJP,クラレメディカル)を用いた.また,浸漬用ドリンクには,ウイスキー(pH6.2,アルコール40%),白ワイン(pH3.6,アルコール12%)およびオレンジジュース(果汁100%,pH3.2,アルコール非含有)を使用した.#1200まで表面を研磨した円盤状硬化試片(直径10mm,厚さ1mm)を標準面試片とし,これらを浸漬用ドリンク100ml中にスターラーで攪拌しながら,室温(23〜25℃)で14日間浸漬した.その後,走査電子顕微鏡による表面観察,および走査型共焦点レーザー顕微鏡を用いた表面粗さ(Ra)の測定を行った.その結果,MIFの表面性状は,オレンジジュース,ワイン浸漬後は標準面とおおむね同様であり,ウイスキー浸漬後も軽微なフィラーの脱落が観察されるのみであった.一方,ULPではフィラーの脱落やマトリックスレジンの破壊と思われる表面凹凸像が認められた.また,EFQ,MJLVではフィラーの脱落など軽微な粗糙化が観察された.MIFのRa値はULPより有意に低値であったが(P<0.05),EFQ,MJPとは同程度で有意差は示されなかった.以上より,MIFの表面安定性はULPよりも向上しており,EFQあるいはMJPと同程度であることが示唆された.

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© 2009 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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