神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
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原著
多発性硬化症における黄斑部網膜内層厚の検討
小野里 規子原 直人新井田 孝裕田川 朝子
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2017 年 34 巻 1 号 p. 46-53

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抄録

目的:多発性硬化症の乳頭黄斑線維を含む鼻側黄斑部網膜内層厚の網膜神経線維層と網膜神経節細胞層+内網状層について比較検討を行った.
対象・方法:多発性硬化症13名26眼,正常眼42名73眼.スペクトラルドメイン光干渉断層計(spectral-domain OCT:SD-OCT)を用い,視神経炎の既往の有無・罹病期間・年齢による変化・総合障害度スケール(expanded disability status scale:EDSS)について検討した.
結果:視神経炎の既往がなくても網膜神経節細胞層の菲薄化と罹病期間に相関がみられた(r=0.63,p=0.003).また加齢に伴う菲薄化は正常者よりも速かった.以上から多発性硬化症は網膜内でも無症候性の変化を来たしており,神経変性と類似した病態の存在が示唆された.また免疫抑制剤フィンゴリモドの使用により網膜神経節細胞層の菲薄化が抑制されている可能性がある.

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© 2017 日本神経眼科学会
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