抄録
いまやメインストリームとなりつつあるESG投資と,格付会社を含むESG評価の現状整理と今後の展望を行う。環境・社会・ガバナンス(ESG)や持続可能な開発目標(SDGs)といったキーワードが金融市場で注目されるなか,債券市場ではグリーンボンド等のラベルを付したSDGs債市場が急速に拡大している。これらのベースとなるグリーンボンド原則等とは何か,それを評価する確認機関の役割が重要だが,その分野に格付会社が参入している。また,代表的なESG投資のスタイルを俯瞰し,最も一般的なインテグレーションで重要なESGスコア(ESG格付)の役割と課題,そしてエンゲージメントの重要性の高まりを論じる。特に,機関投資家がグローバルな脱炭素のアライナンスに加盟するなか,信用リスク,ESGスコアに加え,「温室効果ガス(GHG)」という新たな投資尺度が浮上している。脱炭素に向けた長期的な取り組みは,発行体との継続的な対話が必須であり,金融市場におけるエンゲージメントの重要性は債券投資家の間でも増している。
最後に,ESG投資は,従来の信用評価の枠組みを超えた広がりを見せており,格付会社もこのESG業界の主要プレーヤーとして,その業界再編の中心に存在する現状を整理したい。