抄録
第2期トランプ政権の誕生以降、金融市場のボラティリティが上昇するなか、ESGの分野にもその影響が生じている。本稿では、トランプ政権の政策が単なる反ESGではなく、「反グローバリゼーション」の文脈のなか位置づけられる状況を整理する。トランプ政権の第1期と第2期の違いとして、政権の背後に見られる政治思想を整理し、バンス副大統領を結節点として政策に直結しているとの仮説を検討する。その影響が最も顕著なのが、欧州の政策的優先順位の見直しであり、その結果として、「防衛は責任投資である」とのESGのアイデンティティに関わる動きに発展している現状を確認する。
ESGインテグレーションが信用格付や投資判断で定着しているなか、外部環境の変化にどう対応すべきなのか。ESG普及の原点の1つとなった2015年の「ホライズンの悲劇」演説に立ち返り、「ESGは政治的な色彩を帯びたイデオロギーの問題ではなく、成長のために乗り越える現在および将来のリスク」との今日的解釈を提示する。