抄録
財政規律の緩みやインフレに対する懸念が強まると、長期金利が上昇し警告を発する債券市場を「債券自警団」と呼ぶことがあるが、日本でそれが復活する兆しが伺われる。10年金利は今のところ想定される決定要因で概ね説明可能だが、海外投資家の売買比率が高い超長期の金利は財政リスクへの懸念で押し上げられている側面があり、それが10年以下の金利に伝播するリスクに注意が必要である。より長期の視点では、日本銀行が正常化の一環として進めている長期国債保有残高の圧縮が、長期金利に上昇圧力として作用する可能性がある。筆者の試算によれば、国債現存額が過去10年と同じ伸びを維持した場合、やがて需給バランスが崩れ、10年金利は2050年に8%超まで上昇する。日銀のバランスシートの正常化は、わが国財政の持続可能性や日銀が中央銀行としてどうあるべきかという極めて重要な論点を含んでいる。