心臓
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第22回 臨床不整脈研究会
食事負荷によりCPAが発症したBrugada症候群の1例
鈴木 篤山分 規義大坂 友希島田 博史浅野 充寿村井 典史鈴木 秀俊清水 雅人藤井 洋之西崎 光弘鈴木 誠櫻田 春水平岡 昌和
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2010 年 42 巻 SUPPL.4 号 p. S4_176-S4_183

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抄録

症例は34歳, 男性. 生来健康であり, 突然死の家族歴なし. 4~5年前より心電図異常を指摘され, 2008年2月, 健診にて心室性期外収縮(PVC)およびST-T異常を指摘された. 同年3月下旬職員旅行の2日目, 朝食中にCPA(心室細動: VF)が発症し, AEDにより除細動され, 後遺症は認められなかった. 近医入院中の心電図にてcoved型ST上昇(type 1)を指摘され, Brugada症候群と診断されICD植え込み術を施行された. 2008年5月, 当科紹介受診. OGTT負荷により, IRI, および血糖値の上昇に伴い, coved型ST上昇が顕性化した. 12誘導Holter心電図記録では, 各食後においてV2誘導にてcoved型ST上昇が認められ, その程度は, 朝食後に特に強く認められた. 一方, PVCは1日中記録され, QRS波形は左脚ブロック型を呈していた. そこで後日, 朝, および昼禁食で同様に12誘導Holter心電図記録を行ったところ, 日中のPVCは著明に減少し, 朝食後, および昼食後に一致する時間帯の記録ではcoved型ST上昇は消失していた. PVCがVFのトリガーとなっている可能性を考え, カテーテルアブレーション治療を施行しPVCは軽減した.
本例においてはST上昇, および心室性不整脈発生の増悪に食事が強く関与していた. 以上, Brugada症候群における致死的不整脈の自然発生機序を考慮するうえで, 夜間就寝中の発症ばかりでなく, 食事の影響も注目すべきと考えられた.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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