心臓
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第22回 臨床不整脈研究会
CRT-Dにより一時的に心機能が回復したBecker型筋ジストロフィに伴う拡張型心筋症の1例
小森 暁子住友 直方阿部 百合子田口 洋祐中村 隆広市川 理恵福原 淳示松村 昌治金丸 浩鮎沢 衛岡田 知雄麦島 秀雄
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2010 年 42 巻 SUPPL.4 号 p. S4_195-S4_200

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抄録

14歳の男児. 9歳時にBecker型筋ジストロフィ(BMD)の診断を受け, 車椅子生活をしている. 14歳8カ月時に数分の意識障害, 動悸を自覚し当科を受診した. 心胸郭比は0.56で, 心拍数210bpm, 右脚ブロックパターンの心室頻拍(VT)を認めた. 心エコーで著明な左室拡大, 左室駆出率(EF)0.18, 重度僧帽弁閉鎖不全を認め, 拡張型心筋症(DCM)の診断で入院した. 利尿薬により心不全は軽快し退院したが, その後, 再びVT, 心不全が増悪し再入院した. VTはメキシレチンの内服でコントロールされたが, 心不全はPDEIII阻害薬から離脱できなかった. 入院4週目頃から血圧低下を伴うVTがしばしば出現し, 入院6週目に意識消失を伴うVTが出現, 心停止となり, 蘇生後に呼吸管理を開始した. その後, 除細動器付心臓再同期療法(CRT-D)を施行したところ, EF 0.40と心機能が改善し, VT, 心不全も一時軽快したが, 4日後に肺炎を合併し死亡した.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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