抄録
背景: Cambridge Heart社製装置で測定されるT-wave alternans(CH-TWA)は, 心臓突然死の予知において多くのエビデンスを有する. しかし, 皮膚の前処理や特殊電極の使用などの施行上の制限がある. 本研究の目的は, 一般臨床で使用されているフクダ電子社製多機能心電計を用いてTWA(FD-TWA)を簡易に測定し, CH-TWAと比較することである.
方法: 対象患者12例において, トレッドミル運動負荷中にCH-TWAとTD-TWAを同時に測定した. CH-TWAは従来の検査手順に沿って計測された. FD-TWAは通常の電極を用いて皮膚の前処理は行わずに計測された. 両装置で記録された胸部誘導における運動負荷中の最大TWA電位と相関性およびTWAのトレンドグラフの一致性が評価された.
結果: 最大TWA電位は, CH-TWAが6.8±1.7µV, FD-TWAが20.2±8.8µVであった. 最大TWA電位については両装置間で値は大きく異なったものの, 比較的高い相関関係が得られた(r=0.57). 胸部誘導で測定したTWA電位のトレンドグラフもほぼ一致していた.
結語: 簡易測定されたFD-TWAはCH-TWAと相関しており, 心臓突然死の予知指標として活用できる可能性がある.