心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
43 巻, SUPPL.1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
第20回 体表心臓微小電位研究会
  • Brugada型心電図のリスク層別化の試み
    植竹 俊介, 小原 俊彦, 村田 広茂, 淀川 顕司, 高山 英男, 宮内 靖史, 加藤 貴雄, 水野 杏一
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_3
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    [背景] Brugada型心電図のリスク層別化には, 有効な方法がない. 近年, 心電図の時間周波数解析の有用性が報告されており, Brugada症候群検出における有用性を評価した.
    [方法] 対象はBrugada型心電図と診断された18例(女性: 1, 45±20歳). 高分解能心電計(sampling, 10kHz)を用いて, V1, V2誘導の通常肋間と上位肋間(第2, 3肋間)の計6誘導を同時記録. Wavelet変換(Gabor関数)を用いて, QRS波後方の周波数成分(40-200Hz)を評価した.
    [結果] 検査時にTypeを示した3例を含め6例(すべて男性)がBrugada症候群と診断され(BS群), 残り12例(女性: 1, Type II=8, Type III=4)はBrugada症候群の診断基準を満たさなかった(非BS群). BS群では, 非BS群に比べ高周波数成分(80Hz以上)のパワー値が増高する傾向にあり, 高周波数成分の増高が認められる誘導数(6誘導中)が有意に多かった(4±1.4 vs 1.33±1.2, p<0.05).
    [結語] 異常高周波数成分を検出することで, Brugada型心電図のリスク層別化に有用である可能性が示唆された.
  • 体動を考慮した呼吸·心拍信号のリアルタイム処理
    吉田 悠鳥, 香川 正幸, 後藤 眞二, 鈴木 哲, 栗田 明, 小谷 英太郎, 新 博次, 高瀬 凡平, 松井 岳巳
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_4-S1_10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    人体にやさしい小電力のマイクロ波レーダーを使用して, 高齢者を対象とした非接触かつ非拘束な呼吸·心拍数モニタリングシステムを開発した. このシステムを実際に特別養護老人ホームで評価し, 高精度の呼吸·心拍数モニタリングシステムの実現とその有用性を確認した. 本論分では, 特に心拍信号の実時間上での迅速抽出について述べる. 寝具用マットレスの下部に周波数の異なる2つのレーダー装置を設置し, 呼吸·心拍に伴う体表面の微振動をドプラレーダーにより計測する. 得られる生体信号には, 呼吸動, 心拍動, 雑音が混在している. この中で安静時に, 最も振幅の大きな信号として現れる呼吸信号に着目し, 実時間上における信号平滑化の移動平均法を用いて呼吸信号を推定し, 原信号からその呼吸信号を減算することにより心拍信号, 心拍数を高精度に抽出した. 一方で, 高齢者の介護では, 在宅の場合も施設介護の場合も高齢者の状態変化の早期検出と介護者の身体的精神的負荷の軽減が求められている. 高齢者にとって拘束感, 違和感がない本システムは, 新しい高齢者見守り支援システムとして期待される.
  • 笠巻 祐二, 出口 朋子, 田中 健次, 石川 博久, 石川 博敏, 塚本 剛, 田野 絢子, 太田 昌克, 中井 俊子, 渡辺 一郎, 平 ...
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    [背景] 以前われわれは, 低出力半導体レーザー治療(LLT)が洞不全症候群(SSS)症例において心拍数増加作用を有することを報告した.
    [目的] LLTが心拍数に及ぼす影響がどの程度, 持続するかを明らかにすること.
    [方法] SSS7症例を対象とし, 波長830nm, 出力70mWの半導体レーザーを用い, C6またはC7頸椎の横突起部にプローブ先端をやや圧迫気味にあててレーザー照射を施行. 照射時間は15秒に設定, 5分間/片側で両側に照射を行った. 2回/週, 4~6週間施行し, LLT前後でホルター心電図による総心拍数, 最大, 最小, 平均心拍数, 最大RR間隔, P波加算平均心電図によるfiltered P波からearly potential(EP20)を比較した.
    [結果] 急性期7症例中5例で心拍数の増加が認められたが, 2例は不変であった. 心拍数増加が認められた5例ではいずれもEP20の値は増大傾向を認めた. LLT1年後にホルター心電図による諸指標を検討した結果, 5例全例で急性期の結果と有意な差は認めなかった.
    [結語] LLTはSSS症例において1年後においても心拍数増加作用を維持していた. LLTは安全に施行できるため, 新たな治療法の1つになる可能性がある.
  • 星田 京子, 池田 隆徳, 柳沢 亮爾, 三輪 陽介, 宮越 睦, 阿部 敦子, 石黒 晴久, 塚田 雄大, 米良 尚晃, 柚須 悟, 吉野 ...
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_12-S1_15
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    背景: Cambridge Heart社製装置で測定されるT-wave alternans(CH-TWA)は, 心臓突然死の予知において多くのエビデンスを有する. しかし, 皮膚の前処理や特殊電極の使用などの施行上の制限がある. 本研究の目的は, 一般臨床で使用されているフクダ電子社製多機能心電計を用いてTWA(FD-TWA)を簡易に測定し, CH-TWAと比較することである.
    方法: 対象患者12例において, トレッドミル運動負荷中にCH-TWAとTD-TWAを同時に測定した. CH-TWAは従来の検査手順に沿って計測された. FD-TWAは通常の電極を用いて皮膚の前処理は行わずに計測された. 両装置で記録された胸部誘導における運動負荷中の最大TWA電位と相関性およびTWAのトレンドグラフの一致性が評価された.
    結果: 最大TWA電位は, CH-TWAが6.8±1.7µV, FD-TWAが20.2±8.8µVであった. 最大TWA電位については両装置間で値は大きく異なったものの, 比較的高い相関関係が得られた(r=0.57). 胸部誘導で測定したTWA電位のトレンドグラフもほぼ一致していた.
    結語: 簡易測定されたFD-TWAはCH-TWAと相関しており, 心臓突然死の予知指標として活用できる可能性がある.
  • 若月 大輔, 東 祐圭, 下島 桐, 山谷 清香, 江波戸 美緒, 鈴木 洋, 嶽山 陽一, 堤 健
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_16
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    心電図QRS内のwavelet(WT)シグナルにfragmentation(flag)を認める症例がある. 本研究はBrugada型タイプ1心電図(薬剤負荷でタイプ1へ変化するものを含む)をもつ患者22人を対象に, 心電図QRS後半における150Hz周波数帯のWTシグナルのfragの有無を加算平均心電図の結果と比較した. 症例22人のうちfragを認めた(陽性群)は6人であった. SAECGでfQRS 120以上を認める患者17人のうち陽性群は6人で, LAS40 38以上の13人中6人に認め, RMS20以下12人中6人に認め, さらにRMS10以下では5人中4人に認めた. 逆にfrag陽性群と陰性群でSAECGにおけるLPの数値を比較するとfQRS, LAS40の値は陽性群で有意に高く, RMSの値は有意に低かった(p<0.05). 本対象患者では, 症候の有無とfrag陽性との有意な相関を認めなかった. Brugada症候群の加算平均心電図のLP陽性とWTシグナルには症候性と関係なく相関を認めた.
  • 古川 善郎, 山田 貴久, 奥山 裕司, 森田 孝, 田中 耕史, 岩崎 祐介, 安居 啄, 上田 宏達, 岡田 健志, 川崎 真佐登, 蔵 ...
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    [目的] 当院における慢性心不全患者の予後と, QRS波加算平均心電図における各パラメータの関係を明らかにすること.
    [方法] 患者背景: 左室駆出率40%以下の慢性心不全患者106例. 男性81例, 平均年齢63.6歳. 虚血性54例, 非虚血性52例. フクダ電子社製VCM-3000を用い, 加算平均心電図を記録. 空間マグニチュード誘導で, フィルター化QRS波の持続時間(fQRSd), 同終末部40ms間の相乗平均電位(LP40), 終末部40µV以下の持続時間(LAS40)について予後との関連を前向きに検討した.
    [結果] 平均観察期間6.5年間で41例が死亡した. 32例に心臓死を認めた. 20例で突然死を認め, 11例は心不全死であった. 心臓死に関してはいずれのパラメータも有意な関連は認められなかった. 死因別では突然死に関してはいずれのパラメータとも傾向は示したものの有意差には到らなかった. 関連を認めなかった. 心不全死に関してはfQRSdがp=0.008, 95%信頼区間1.005-1.033と有意に相関していた. LAS40もp=0.08と傾向は認めたが有意差には到らなかった.
    [結語] 慢性心不全患者におけるfQRSdは突然死よりもむしろ心不全死の予測因子となりうる.
  • 宗次 裕美, 丹野 郁, 大沼 善正, 菊池 美和, 伊藤 啓之, 小貫 龍也, 三好 史人, 河村 光晴, 浅野 拓, 小林 洋一
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_18-S1_21
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    目的: P波加算平均心電図(P-SAE)で記録される心房遅延電位は心房細動の病理的特徴である心筋線維化の指標として注目されている. 高血圧(HT), 心不全(CHF)は心房細動の誘発因子であり, 心房負荷を伴う. 今回CHF, HTを伴う発作性心房細動(Paf)について検討した.
    方法: 対象は, 2007年~2010年まで当院でSAECG検査試行した患者804例の内, 心不全合併例, 器質的心疾患合併例を除外した430例(男性301例, 女性129例). フィルター化P波持続時間(FPD)およびその終末部20msec間のRMS電位(LP20)を記録した.
    結果: CHFのうち, HT合併例ではPaf, 洞調律間でFPD(p=ns). HT非合併例ではPaf, 洞調律間でFPD(p=ns). CHF非合併例のうち, HT合併例では, Paf, 洞調律間でFPD(135.9±17.6ms vs 126.6±17.7ms vs p<0.01). 非高血圧合併例ではPaf, 洞調律間でFPD(133.9±16ms vs 123.1±16ms, p<0.01).
    結語: CHF非合併例のうち, HT非合併例ではLP20, FPDはPaf, 洞調律間で有意差を認められたが, HT合併例では有意差を認められなかった. HTではPafの基質が異なる可能性があり, 高血圧に伴う発作性心房細動では, SAECGの診断精度が低下する可能性がある. 今後, 高血圧に伴う心房内遅延電位のより有効な評価方法をもうける必要性を示唆された.
  • 高野 奈実, 堤 健, 山本 由美子, 高野 治人, 若月 大輔, 岩澤 邦明, 東 祐圭, 中島 敏明, 嶽山 陽一
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_22
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    [対象] 昭和大学藤が丘病院で2004年から2008年までにlate potential(LP)および12誘導心電図(ECG)を測定した509名のうち, 冠動脈疾患患者239名を対象とした.
    [方法] ECGは300Hzのフィルターを通し, sampling rate 10KHzの条件で記録された. 1心拍QRS区間内でwavelet変換による時間—周波数解析を行い, 300Hzと80Hzのピーク周波数パワー(FP)比(P300/P80)を算定した. 致死性不整脈陰性例(n=200)のFP比は平均値=0.15, SD=0.05のため, 0.25≤を異常高周波パワーとした. 1)FP比が0.25以上, 2)300HzのFPの持続時間が20ms以上の条件を満たす例, をFP比診断陽性とした.
    [結果] 239名中, 致死性不整脈例は39名であった. LP診断では真陽性18名, 偽陰性21名, 偽陽性82名, 真陰性139名であり, 感度46%であった. 偽陰性21名のうち, FP比診断では13名が陽性で, 偽陽性82名のうちFP比診断では64名が陰性であった.
    [考察] LP法による致死性不整脈診断にFP比を組み合わせると, 感度79.5%, 陽性反応的中率63%となり, 予知診断率が改善した.
  • 三輪 陽介, 池田 隆徳, 宮越 睦, 星田 京子, 柳沢 亮爾, 阿部 敦子, 石黒 晴久, 塚田 雄大, 米良 尚晃, 柚須 悟, 吉野 ...
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_23-S1_26
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    目的: 拡張型心筋症(DCM)患者のリスク層別化において, 自律神経指標であるheart rate turbulence(HRT)の有用性を評価した.
    方法: 対象は, DCM患者連続375例(虚血性241例, 非虚血性134例) である. 24時間ホルター心電図を用いて, 自動解析によりHRTのパラメータであるturbulence onset(TO), turbulence slope(TS)を測定した. TO>0%, TS<2.5ms/RRIをともに満たす場合をHRT陽性と判定した. 1次エンドポイントを心臓死, 2次エンドポイントを頻脈性心室性不整脈の発現とした.
    結果: 375例中83例(22.1%)でHRTは測定不能であった. 測定可能であった292例のうち81例(28%)がHRT陽性であった. 観察期間445±216日において, HRTは1次エンドポイントおよび2次エンドポイントを含めた複合エンドポイントと有意な関連性を示した(ハザード比6.4および5.1). 虚血性, 非虚血性に分けたサブ解析においても, HRTはエンドポイントと有意な関連性を示した.
    結語: HRTは, 虚血性, 非虚血性にかかわらず, DCM患者のリスク層別化において有用であることが示された.
  • ウェーブレット解析を用いた検討
    淀川 顕司, 小原 俊彦, 村田 広茂, 高山 英男, 加藤 貴雄, 水野 杏一
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_27
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    [背景] 虚血性心疾患において, VTやVFの予知のため, さまざまなリスク評価法が検討されている.
    [目的] 陳旧性心筋梗塞における致死性不整脈リスク評価としてのウェーブレット解析法の有用性を検討.
    [対象と方法] 健常50例, 虚血性心疾患患者50例(頻脈性心室性不整脈のない患者; VA(−)群25例, VTの既往のある13例, VFからの蘇生例12例). 全例で心電図Z誘導QRS波をガボール関数を用いてウェーブレット変換し, 各周波数帯でのピークのパワー値を比較.
    [結果] SVT/VF群では150Hzを中心に高周波成分が著明に発達, ピークのパワー値(p150)はVA(−)群に比し有意に大. p150>300をカットオフ値とするとSVT/VF群の同定における感度は96%, 特異度は55.6%であった.
    [結論] ウェーブレット解析による心電図QRS内高周波成分は, 重症心室性不整脈の予知指標となりうる可能性が示唆された.
  • 水牧 功一, 藤木 明, 阪部 優夫, 西田 邦洋, 岩本 譲太郎, 中谷 洋介, 山口 由明, 常田 孝幸, 井上 博, 金子 睦雄, 後 ...
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_28
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    [目的] 新たにホルター心電図でスペクトル法によるTWA解析を試み, 従来のスペクトル解析法(microvolt(M)-TWA)と比較検討した.
    [方法] 心機能低下(LVEF<0.40)例でM-TWA陽性15例とM-TWA陰性13例を対象にホルター心電図を記録した. SCM6000を用い洞調律時全心拍の連続するT波の面積をFFT解析し0.5(cycle/beat)のpowerの平方根をTWA voltageとして求めた.
    [結果] HolterでのTWA voltageの最大値はM-TWA(+)群がM-TWA(−)群より有意に大であった. TWA voltageの最大値はM-TWA voltage(VM)の最大値と有意な正相関を示した.
    [総括] 心機能低下例でM-TWA陽性例は陰性例に比較し, Holter心電図のスペクトル解析によるTWA voltageは高値となり, 両方法によるTWAが相関する可能性が示唆された.
  • 高瀬 凡平, 永田 雅良, 木原 照厳, 浜部 晃, 上畑 昭美, 石原 雅之
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_29
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    心筋壊死の臨床診断として心臓MRI法による遅延造影画像(delayed enhancement; DE)が有用とされている. 心臓MRI法によるDEと心筋梗塞後の死亡予後との間に関連性が報告されているものの,致死性不整脈発生の非侵襲的心電図予測指標との詳細な検討は少ない. そこで,DEと体表面微小心電図(LP)や心拍変動指標(HRV),QT dispersion(QTD)と関係を検討した. 陳旧性心筋梗塞症例84例(69±9歳)に心臓MRI法とLPを施行し,一部の症例(26例)でHRVとQTDを測定した. HRVは24時間心電図からSDNN,SD index,SDANN,pNN50,rMSSD,HF,LF,TF,Fractal β(β)を求めた. 心臓MRI法は1.5T GE社製Sigma CV/iにてgadlinium(0.2mol/kg)投与造影下に左心室短軸6断面を撮像した. 心筋の壊死形態をmassive(1点)からpatchy(3点)までの程度により視覚的に1-3点でscore化し(patchy score; PS),LP陽性およびHRV,QTDの結果と比較した. LP陽性例22例とLP陰性例62例が認められ,壊死の形態を反映するPSはLP陽性例においてLP陰性例に比べ有意に高値を示した(2.3±0.5 vs.1.4±0.6,p<0.05). また,PSおよび壊死範囲を反映するDE断面数とpNN50,rMSSD,β,QTDは相関する傾向を示した.
    結語: 心臓MRI法で求めたDEの形態やその範囲は,陳旧性心筋梗塞症例の致死性不整脈の予測因子として有用となる可能性が示唆された.
  • 吉岡 公一郎, 網野 真理, 島 牧義, 山口 恵子, 中嶋 美緒, 岡田 徹, 鎌田 正, 出口 喜昭, 田邉 晃久
    原稿種別: 第20回 体表心臓微小電位研究会
    2011 年43 巻SUPPL.1 号 p. S1_30
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    心臓における細胞—細胞間の電気的結合と活動電位の成り立ちに関与する蛋白質にギャップジャンクションがあるが, ヒト病的心筋においては, 左室心筋細胞における細胞間接合因子コネキシン(Cx43)の減少および配列の乱れが心室性不整脈(VT/VF)の重大な素因となっている. われわれはウサギ心筋梗塞モデルにおいて, 重粒子線が左室におけるCx43発現を1年にわたって亢進し(AJP 2010), VT/VF誘発率を減少させることを明らかにした(Cardio Vasc Res 2006). しかし, ヒトの心臓に対する重粒子線照射による電気生理学的影響は明らかではない. 本研究の目的は, 縦隔に対する重粒子線照射予定患者を対象に高時間分解能ホルター心電計を施行し, 照射が心筋の不整脈基質に与える影響を評価することである(本研究はヒトにおける致死性心室性不整脈に対する重粒子線治療の実現に向けた前段階としての探索的研究である).
    方法: 対象は2009年4月~全例調査とし, 現時点での登録患者は肺腫瘍9例である. 肺腫瘍患者はすべて縦隔に対する重粒子線照射が行われ, 事実上, 心臓に対する照射が行われた症例である. 重粒子線照射前, 照射後1週間(急性期), 照射後1, 3, 6ヵ月(慢性期)におけるホルター記録から, 不整脈出現回数と心室内遅延電位(LP)と再分極の不安定性(T波変動: TWV)を解析した.
    結果: 平均照射回数は12.8回, 照射量は50.4Gy(グレイ)であった. 不整脈出現の有無については, 慢性心房細動が洞調律に回復; 1例, 発作性心房細動消失; 1例, 心室性期外収縮消失; 1例, 非持続性心室頻拍消失; 1例, 不変; 4例であった. LP については1例で, 照射により陰転化を示した(心室性期外収縮消失例). 今回はこの肺腫瘍例の心電記録について実波形を提示し, LP, TWVと不整脈消失の関係について若干の考察を加える.
feedback
Top