心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第20回 体表心臓微小電位研究会
マイクロ波レーダーを用いた非接触見守り支援システムの開発および後期高齢者への臨床応用
体動を考慮した呼吸·心拍信号のリアルタイム処理
吉田 悠鳥香川 正幸後藤 眞二鈴木 哲栗田 明小谷 英太郎新 博次高瀬 凡平松井 岳巳
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 43 巻 SUPPL.1 号 p. S1_4-S1_10

詳細
抄録

人体にやさしい小電力のマイクロ波レーダーを使用して, 高齢者を対象とした非接触かつ非拘束な呼吸·心拍数モニタリングシステムを開発した. このシステムを実際に特別養護老人ホームで評価し, 高精度の呼吸·心拍数モニタリングシステムの実現とその有用性を確認した. 本論分では, 特に心拍信号の実時間上での迅速抽出について述べる. 寝具用マットレスの下部に周波数の異なる2つのレーダー装置を設置し, 呼吸·心拍に伴う体表面の微振動をドプラレーダーにより計測する. 得られる生体信号には, 呼吸動, 心拍動, 雑音が混在している. この中で安静時に, 最も振幅の大きな信号として現れる呼吸信号に着目し, 実時間上における信号平滑化の移動平均法を用いて呼吸信号を推定し, 原信号からその呼吸信号を減算することにより心拍信号, 心拍数を高精度に抽出した. 一方で, 高齢者の介護では, 在宅の場合も施設介護の場合も高齢者の状態変化の早期検出と介護者の身体的精神的負荷の軽減が求められている. 高齢者にとって拘束感, 違和感がない本システムは, 新しい高齢者見守り支援システムとして期待される.

著者関連情報
© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top