2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_15
[目的] 今回,われわれは,心房細動(AF)患者のP波の周波数パワー値の特徴を検討した.
[方法] (発作性/持続性)AF患者30人(AF群;68±10歳,男性22人)とAFが確認されたことがない患者20人(control群;56±16歳,男性19人)を対象とした.AF群は,肺静脈隔離術(PVI)を受け,1年間発作がない患者10人(AF-PVI群)と,受けていない患者20人(AF-nonPVI群).心電図II誘導のP波を周波数解析し,時間周波数パワー積分値(integral time-frequency power;ITFP)を算出し検討した.AF-PVI群はPVI1年後に検査を施行した.
[結果] 心エコーにおいて,左房容積はcontrol群に比べAF群で有意に大きかった(p<0.0001).P波の40HzにおけるITFP値の前半/後半の比(ITFP40 ratio)は,AF-nonPVI群では,ほかの群に比べて有意に低かった(AF-nonPVI vs AF-PVI vs control;0.89 vs 1.49 vs 1.59, p<0.01).AF群の中で加算平均心電図を施行し,RMS20は2群間で有意差を認めなかった.
[結論] AF患者では,心電図P波の周波数特性が異なり,P波の周波数解析がAFの検出に有効である可能性が示唆され,今後,症例数を増やし,検討を要すると考えられた.