心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
一般演題
高血圧,心不全を伴う発作性心房細動のP波加算平均心電図
宗次 裕美川崎 志郎大西 克実大沼 善正菊池 美和伊藤 啓之三好 史人安達 太郎河村 光晴浅野 拓丹野 郁小林 洋一
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_17

詳細
抄録

[目的] P波加算平均心電図(P-SAE)で記録される心房遅延電位は心房細動の病理的特徴である心筋線維化の指標として注目されている.今回,発作性心房細動(Paf)症例での,高血圧(HT),心不全(CHF)のP-SAEへの影響について検討した.
[方法] 検討(1)当院外来を2007年から2010年までに受診したPaf患者,連続242例(男性170例,女性72例)について,フィルター化P波持続時間(FPD)およびその終末部20msec間のRMS電位(LP20)を記録し,合併症ごとに以下のLone Paf群,HT+PafB群,HT+CHF+Paf群の3群に群分けし,3群間での比較検討を行った.検討(2)当院外来を2007年から2010年までに受診した患者,連続305例(男性220例,女性85例)について上記と同様に記録し,HT+Paf(-)群,HT+Paf(+)群,HT+CHF+Paf(-)群,HT+CHF+Paf(+)群の4群間での比較検討を行った.
[結果] 検討(1)FPDは合併症による有意差は認められず(p=ns),LP20はHT群に比べHT+CHF群では低下する傾向がある(p<0.07).検討(2)HTを合併したPaf(+)では,paf(-)に比べFPDは有意に延長するが(p<0.001),LP20に有意差はない(p=ns). HT+CHFを合併したPaf(+)では,Paf(-)に比べLP20が有意に低下するが(p=0.001),FPDに有意差はない(p=ns).
[結語] HTを合併したPafに比べ,HTにCHFを合併したPafでは心房の線維化が促進されている可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top