2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_29
連続ウエーブレット解析(wavelet transform;WT)を用いてQRS波の周波数解析を試みてきたので方法と臨床応用を述べる.
300Hzまで記録可能な心電計を用いてECGを記録,1~数拍のQRSを選択してWT解析を行った.解析データは主に2つの方法で半定量的に分析された.(1)周波数パワー積分法:80列のWT信号中QRS波内周波数を算出するため,周波数パワー値の積分を行い周波数分布を測定した.(2)2次元表示法:WT信号をQRSに一致した時間軸上にプロット,異常信号の発生時間やピークパワー値を測定した.3つの応用例を提示する.1)周波数パワー積分法を用いた心筋梗塞心電図の周波数解析,2)2次元表示法を利用した心室性不整脈基質と推定される高周波信号とLP法との比較,3)周波数パワー積分値変動を利用した運動負荷前後の周波数分布変化の解析.
以上の結果によりWT法による周波数解析は可視的に捕捉できないQRSの周波数変化を評価できることが明らかとなった.