抄録
背景:冠攣縮性狭心症(VSA)は院外心停止(OHCA)の原因の1つとなることが,知られている.
目的:OHCAから蘇生したVSA症例の臨床的特徴,予後を明らかにすることを目的とした.
方法:冠攣縮研究会多施設共同研究の登録症例を対象とし,OHCA蘇生例(n=35)と非OHCA例(n=1,394)の比較を行った.
結果:OHCA例は非OHCA例に比して若年(58歳対66歳,p<0.001)で,誘発試験における LADの陽性率が高かった(72%対53%,p<0.05).OHCA例中14例にICD移植が行われた.診断後5年間の心イベントはOHCA例で高率(28%対8%,p<0.001)であった.ICD移植例のうち2例でVFに対する作動を認め,非移植例のうち1例で突然死を生じた.
結語:OHCA蘇生例は高リスク群であり,より厳密な治療,観察を要する.ICD適応に関しては,さらなる検討が必要である.