心臓
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第24回 心臓性急死研究会
致死性不整脈を伴う急性冠症候群に関連する因子についての検討
芥野 絵理菊池 幹百名 洋平吉村 仁折口 秀樹林谷 俊児毛利 正博山本 英雄瀬筒 康弘山本 雲平宮田 健二野間 充多治見 司
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2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_93-S2_97

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抄録

急性冠症候群において致死性不整脈が出現し得ることは広く知られており,一般的には虚血心筋の再灌流時に発生すると考えられている.電気生理学的機序により急性冠症候群時の致死性不整脈発生機序は理論づけられているが,臨床的にどのような因子が影響を及ぼしているかは明らかとなっていない.今回,われわれは,2010年1月から2011年6月までの18カ月間に,当院において急性冠症候群に対する緊急経皮的冠動脈形成術を行った208例において,致死性不整脈出現にどのような因子が関与しているかを検討した.208例中18例において,急性期に心室頻拍/心室細動(VT/VF)などの致死性不整脈が出現した.致死性不整脈出現例での責任冠動脈は左冠動脈主幹部(LMT)が1例,左前下行枝(LAD)が5例,左回旋枝(LCX)が2例,右冠動脈(RCA)が10例であった.基礎疾患でのリスクファクターを検討したところ糖尿病を有する症例に多く,左右の冠動脈では右冠動脈を責任病変とする症例で出現しやすいという結果であった.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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