心臓
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第25回 臨床不整脈研究会
広範囲のST変化を伴い心室細動で発見されたBrugada症候群の 1例
大原 美奈子武 寛伴場 主一大江 透
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2013 年 45 巻 SUPPL.3 号 p. S3_149-S3_154

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抄録
 症例は21歳, 男性. 既往歴, 家族歴に特記すべきことなし. 2006年に学校健診で心電図異常 (右軸偏位, V1, Ⅱ, Ⅲ, aV F誘導のQRS波にnotch) を指摘され近医を受診したが, 器質的心疾患は否定的で自覚症状, 家族歴ともに認めなかったため経過観察となっていた.  2012年 3月, 夜間に自宅でパソコンをしていて突然心肺停止となり, 救急車にて自宅近くの総合病院に搬送された. 病院到着時は心室細動 (VF) で電気的除細動 (DC) を施行し約 1時間後に自己心拍が再開した. 緊急カテーテル検査では冠動脈に異常は認めず, アセチルコリン試験も陰性であった. 経過中に右側前胸部誘導でcoved型ST上昇を認め, ピルジカイニド負荷試験にて右側前胸部誘導から側壁誘導にかけてcoved型のST上昇を認め, Brugada症候群が疑われた. MRI検査では側壁領域に異常濃染像を認めており, 心筋炎などを合併していた可能性は否定できなかったが, 蘇生後のため植込み型除細動器 (ICD) 植え込み術を施行した.  6カ月経過後に施行したピルジカイニド負荷検査では側壁誘導のST変化は消失し, Brugada症候群に特徴的な右側前胸部誘導のcoved型ST上昇を認めたことからBrugada症候群と考えた. 広範囲のST変化を伴い, 心室細動で発見されたBrugada症候群の症例を経験したため報告する.
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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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