心臓
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第25回 臨床不整脈研究会
体表心電図で通常型心房粗動様の鋸歯状波を呈し冠静脈洞入口部近傍の局所リエントリが機序と考えられた心房頻拍の1例
佐々木 憲一佐々木 真吾木村 正臣大和田 真玄堀内 大輔伊藤 太平石田 祐司金城 貴彦奥村 謙
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2013 年 45 巻 SUPPL.3 号 p. S3_68-S3_73

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抄録
 症例は70歳代の男性. 繰り返す心房性頻脈性不整脈 (ATA) に対するカテーテルアブレーション目的に当科に入院した. 心房ペーシングで誘発されたATAは通常型心房粗動と酷似した粗動波を示したが, 心内電位は全く異なり, CSおよびHaloカテーテルの興奮は同時相であった. CARTO mapは冠静脈洞入口部 (CSos) 付近からの巣状パターンを呈し, 全興奮時間は頻拍周期の約2/3を占めるのみであった. そこでCSosに小径Lassoカテーテルを留置したところ, 低電位ながらLasso電位は頻拍周期の間隙をカバーした. リエントリ回路上と考えられた部位よりentrainmentを行うとpost pacing intervalは頻拍周期に一致した. すなわちCSos近傍の局所リエントリと考えられ, 高度にフラグした電位を指標に通電し, 頻拍は停止した. その後は通常型心房粗動のみが誘発され, 解剖学的峡部に通電を行い停止, 以後, 頻拍の再発を認めていない. CARTOにて巣状興奮を呈していながら, Lassoの電位によりリエントリが強く示唆され, 症例によっては有用なアプローチ法と考えられた.
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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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