心臓
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一般演題
チルト試験により32秒間の心停止を認め胸骨圧迫を要した心抑制型神経調節性失神の1例
李 基鎬山分 規義羽田 泰晃中野 国晃島田 博史高宮 智正稲村 幸洋中村 知史清水 雅人藤井 洋之西﨑 光弘櫻田 春水平岡 昌和
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2014 年 46 巻 SUPPL.3 号 p. S3_103-S3_109

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抄録
 症例は56歳男性. 2013年2月, 20時頃に電車内で10分程度の立位後に気分不快を自覚し, その後意識消失を認め頭部外傷を伴った. 同年4月にも同時間帯に同様の状況で前失神症状を2回認めたため, 当科受診. 神経調節性失神が疑われ, チルト試験を施行した. 立位80度負荷で25分後に気分不快を認め, 急激な心拍数の低下から32秒の心停止に至った. そのため胸骨圧迫を施行し, その最中に補充調律から正常洞調律へ復帰した. ホルター心電図のHRV解析ではLF/HF値が上昇傾向から下降に転じたのちにHF成分の急速な上昇を示し, 副交感神経活動の亢進が認められた. 長時間の心停止に至る悪性心抑制型神経調節性失神と考えられた. 後日, 電気生理学的検査を施行し洞機能は正常であった. 著明な心停止を呈した再発性失神であることより, 恒久性ペースメーカー植え込み術 (DDD) を施行した. その後Rate drop response (RDR) 機能を用いて再度チルト試験を行い, 失神を回避することができた. 今回, 長時間の心停止を伴う神経調節性失神に対してRDR機能が奏功した貴重な症例を経験したので報告をする.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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