抄録
54歳の男性. Mobitz型Ⅱ度房室ブロックに恒久的ペースメーカーが植え込まれている. 左脚ブロック, 上方軸波形を示す持続性心室頻拍 (VT) のため入院した. 洞調律は完全右脚ブロックで前胸部誘導に著明なイプシロン波を認めた. EPSでは洞調律中の心内電位で右室流出路 (RVOT) にのみ遅延電位を認め, 心室プログラム刺激によりVTは容易に誘発された. 右室心尖部 (RVA) からのペーシング波形はVT波形に類似し, VT中のNavX isochronal mapもRVAが最早期興奮部位で, 同部位が心内膜側の出口だと考えられた. RVOTにおいてVT中にpresystolic potentialを認め, 同部位からのペーシングでconcealed entrainmentを確認し, 同部位の通電でVTは停止した. 通電部位は緩徐伝導路の入口と考えられた. 考察を加えて報告する.