抄録
症例は49歳男性, 薬剤抵抗性の発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション目的で当院紹介受診となった. 推定心房細動罹病期間は約18年であり, 左房径は42mmでベプリジル200mg/日でリズムコントロールが行われていた. 入室時, 心房細動 (atrial fibrillation : AF) と洞調律を繰り返していた. まず左肺静脈を後壁側から解剖学的に拡大隔離し電気的にも左上下肺静脈が隔離されていることを確認した. その後右肺静脈も同様に解剖学的に隔離し右上下肺静脈の電気的隔離が確認できたが, 右下肺静脈付近からのfiringで心房細動が持続する状況を繰り返した. 右心系をマッピングしたところ下大静脈起源の上室性期外収縮 (PAC) が原因であると判明したため, 同PACをターゲットにアブレーション施行したところAFは停止し以降誘発不能となった. 非肺静脈起源の心房細動において, 下大静脈からの上室性期外収縮が心房細動発生に寄与している症例の報告は稀でありいくつかの文献的考察を含めて報告する.