心臓
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一般演題
慢性期に肺静脈左房間の一方向性伝導ブロックを呈しその評価が非肺静脈起源の推測に有用であった発作性心房細動の1例
山下 周山内 康照柳下 敦彦佐藤 弘典平尾 龍彦尾林 徹宮本 貴庸梅本 朋幸原 信博山口 徹雄宮崎 亮一臼井 英祐川初 寛道庄司 聡平尾 見三青沼 和隆
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2014 年 46 巻 SUPPL.3 号 p. S3_67-S3_72

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抄録
 症例は70歳女性. 徐脈頻脈症候群伴う発作性心房細動 (PAF) に対し, 平成23年1月に拡大肺静脈隔離術 (PVI) と上大静脈隔離術 (SVCI) を施行した. この時, 左上肺静脈 (LSPV) のトリガーを認めていた. PVI後, PAFは生じなくなり退院したが, 術後1カ月でPAFと10秒の洞停止が再発したため2nd sessionを施行した. 洞調律時LSPVの再伝導を認め, このLSPVからはexit block伴う異常興奮が頻回に出現し, LSPVの再伝導がPAF再発の原因と考えられた. CSペーシングでは220msの連続刺激でも左房 (LA) -LSPV伝導は1対1伝導を呈するものの, LSPV内より600msでペーシングしても心房はまったく捕捉されず, LSPV内より110msでペーシング行ったところLSPV頻拍が生じたが, この時も心電図は洞調律を維持しており, LSPV-LA間には一方向性伝導ブロックが考えられた. ATP 20mgを静注したところ房室ブロック出現後, LSPV頻拍が誘発されたが, この時も心内は洞調律でありLSPV-LA方向のdormant conductionも認めなかった. 以上の所見から再発したPAFはLSPVの再伝導が原因ではなく, non PV, non SVC起源トリガーの存在が示唆された. その後, ISP負荷にて複数のnon PV起源PAFが生じたためトリガーアブレーションを施行した. ペースメーカ植え込みを行いホームモニタリングしているが心房細動の再発なく経過している. 慢性期にLSPV-LA間の一方向性伝導ブロックを呈した稀な症例を経験し, その評価がnon PV起源の予測に有益であったため報告する.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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