心臓
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第28回 心臓性急死研究会
クラリスロマイシン内服中に徐脈を契機に多形性心室頻拍をきたした高齢者QT延長症候群の1例
長谷川 祐紀和泉 大輔大槻 総八木原 伸江飯嶋 賢一佐藤 光希池主 雅臣南野 徹
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2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_155

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抄録

 75歳女性. 急性気管支炎のためクラリスロマイシン (CAM) 400mg/日の処方を受けたが, 失神をきたし救急搬送された. 心拍数40/分の徐脈性心房粗動と洞調律時の2 : 1房室ブロックに伴う高度のQT延長 (QTc=583~641ms) を認め, 複数回の失神を伴う多形性心室頻拍の発症を認めた. 電解質異常やたこつぼ型心筋症を示唆する壁運動異常, 虚血性心疾患は認めなかった. CAM休薬9日後には房室ブロックは改善し, QT間隔も正常化した (QT, QTc=425, 467ms). EPSにおいて, ニフェカラントを投与しQT延長を再現したところ, Wenckebach周期は500msから600msに延長し, 545ms周期ではAHブロックに伴う2 : 1房室ブロックが再現された. アトロピン投与で房室伝導の改善はなかった. 房室ブロック時の右室刺激では, Wenckebach周期で心室筋が捕捉された. クラリスロマイシンがQT延長とともに房室結節レベルでの伝導障害に関与し, 多形性心室頻拍発症を促進した可能性を示唆する症例を経験したため報告する.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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