2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_156-S1_162
症例は61歳, 女性. 2009年10月に意識消失発作あり. 救急車内で心室細動が確認され, 電気的除細動で洞調律に復帰している. 心精査では, 明らかな器質的異常は認めず. 植込み型除細動器移植術後, β遮断薬単独およびアミオダロン併用療法下で運動負荷試験を施行したところ, 上室性期外収縮に引き続き, 連結期が280-320msecの右脚ブロック型上方軸の心室性期外収縮が出現し多形性心室頻拍に移行する心電図所見が観察された. 運動誘発性Short-coupled variant of torsade de pointesと考えられ, ベラパミルの内服加療が開始となるも植込み型除細動器の作動あり. 上室性期外収縮の抑制目的にピルジカイニドが追加され作動回数は減少したが, 完全には抑制されなかった. ベプリジルに変更したところ, これまで除細動器の作動なく経過している. 今回, 我々はベプリジルが有効であったと考えられる症例を経験したので, 若干の文献学的考察を加えて報告する.