心臓
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第28回 臨床不整脈研究会
通常型心房粗動に対する下大静脈-三尖弁輪間峡部のアブレーション中の非通常型心房粗動への移行の判別が困難だった部分肺静脈還流異常術後の1例
樋口 晃司村本 容崇鈴木 篤檮木 優哉松本 彩和戸舎 稚詞荒木 恵子大西 隆行小林 一士大西 祐子梅澤 滋男丹羽 明博合屋 雅彦平尾 見三
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2016 年 48 巻 SUPPL.2 号 p. S2_101-S2_106

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抄録

48歳女性.5歳時に部分肺静脈還流異常に対する部分修復術を施行.術後も左共通管肺静脈から上大静脈への還流が残存した.2014年7月より心房粗動を認め2015年4月3日に心房粗動に対するカテーテルアブレーションを施行.頻拍中の12誘導心電図はII・III・aVFで陰性であり,3Dマッピング上も三尖弁輪を反時計に旋回する頻拍周期225msの通常型心房粗動であった.頻拍中に下大静脈-三尖弁輪間峡部のアブレーションを行ったところ頻拍周期が徐々に延長し240msに達した後,290msに延長したが右房側壁・冠静脈洞・アブレーションカテーテルの電位のsequenceにまったく変化がなかった.再度3Dマッピングを施行したところ右房側壁の切開線を旋回する非通常型心房粗動に変化していることが判明.切開線下端から下大静脈まで線状焼灼を行ったところ途中で頻拍は停止.下大静脈までブロックラインを作成し,その後は心房粗動の誘発を認めなかった.

結語:先天性心疾患術後においては,通常型心房粗動と右房切開線を旋回する非通常型心房粗動は合併しやすい.この症例においては二つの心房粗動は心内電位のsequenceが極めて類似しており注意を要した.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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