心臓
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第28回 臨床不整脈研究会
心内膜・心筋中層に起源を有する2種類の心室頻拍に心内膜側からのカテーテル治療が有効であった心サルコイドーシスの1例
保坂 幸男池主 雅臣柏 麻美廣木 次郎土田 圭一木村 新平藤原 裕季中村 則人酒井 亮平西田 耕太高橋 和義小田 弘隆
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2016 年 48 巻 SUPPL.2 号 p. S2_210-S2_216

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抄録

薬剤抵抗性の心室頻拍(VT)によるelectrical stormで再入院した心サルコイドーシス症例.カテーテルアブレーションは心内膜アプローチで行った.左室voltage mappingで前壁の広範囲と後壁の一部に低電位領域を同定した.プログラム電気刺激で興奮旋回を思わせるVT1と巣状興奮のVT2が誘発された.VT1(周期393ms)は左室側壁基部の低電位領域で拡張中期電位(MDP)が記録された.頻拍中のペーシングはMDPを捕捉してconcealed entrainmentの所見を呈した.同部への通電(30-45W)でVT1は直ちに停止した.VT2(周期402ms)の最早期興奮部位は左室側壁の低電位領域に同定された.頻拍中の局所ペーシングはmanifest fusionを呈し,同部位への通電(30-45W)は30秒の時間を要してVT2を停止させた.術後1年の経過でいずれのVTの再発も見られていない.心サルコイドーシスの病変は心外膜側から全層性に及ぶとされる.本例で心内膜側からの通電が有効であったのは,VT1の回路は心内膜心筋を含んでおり,VT2の回路は心内膜側に近い心筋層にあったためと思われる.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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