感染性心内膜炎(infectious endocarditis;IE)の多くが,診断時に脳合併症を発症している.特に頭蓋内出血の合併は,IEに対する治療方針を左右する重要な問題となる.「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン」では,頭蓋内出血を合併したIEについて,「血行動態が安定していれば4週間は開心術を待機することを提案する」にとどまっている.しかし,当院では,頭蓋内出血を合併したIEに対して,脳血管内治療を先行し,可及的速やかに開心術を行う方針としている.加えて,人工心肺中の抗凝固療法を低用量ヘパリン(heparin;Hep)+ナファモスタット(nafamostat mesylate;NM)持続投与法で行い,新規の頭蓋内出血や既存の出血性脳合併症の増悪を予防している.今回,脳動脈瘤破裂を伴った2例のIEに対して,脳血管内治療を先行し,早期に開心術を行い,頭蓋内出血の増悪を生じることなく,良好な結果を得ることができた.これらの経験より,頭蓋内出血を合併したIEに対して,早期に開心術を行うためには,脳血管内治療と低用量Hep+NM持続投与法が非常に有用であると考えている.