心臓
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研究 Fallot四徴症術後急性期の血行動態
術前の肺動脈の発育度が術後血行動態に及ぼす影響
中田 誠介高梨 吉則手塚 光洋松尾 浩三黒沢 博身今井 康晴中沢 誠安藤 正彦高尾 篤良
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1983 年 15 巻 8 号 p. 865-870

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抄録

Fallot四微症心内修復術後22例の急性期血行動態を経時的に追求し,術前の肺動脈の発育が術後の血行動態に及ぼす影響を検討した.第一分枝を出す直前の左右肺動脈の断面積の和をBSAで除した値をPA indexとして肺動脈発育度の指標とした.PA indexは術後の臨床的重症度と密接に関係しPA index低値の症例ほど,重篤な心不全に陥った.術後の心拍出係数はPA indexとy=0.0048x+2.01,y=CI,x=PA index,r=0.69,p<0.01,の相関関係を示した.PA index 190以下の症例では左房圧が13mmHg以上と充分なpre loadにもかかわらず心係数は2.50L/min/m2と低値で,PA index250以上の症例では左房圧が低値でも3.00 L/min/m2以上の心係数を示した.一方,左房圧とCVPの関係をみてみると,PA index低値群ではLAP>CVPであり,PA index高値群ではLAP<CVPの傾向があった,PAindexは左心系の発育の指標としても有用で,PA index低値群では左心機能不全が術後の心不全の主病態であると考えられた.

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