1983 年 15 巻 8 号 p. 879-894
入院加療中の本態性高血圧症患老を対象にpropranolol徐放製剤(propranolol LA)60~120mg1日1回投与群2 7 例とpropranolol通常製剤(propranolol) 60~120mg1日3回分割投与群16例について,血圧日内変動に及ぼす影響を比較検討した. その結果, 両群とも有意な降圧が認められたが, 血圧変動パターンにおいては,両群とも有意な変化は,認められなかった.また血圧の変動性については,1日の最大・最小値差(Range)およびその標準偏差(S.D)とRange,S.D.を血圧平均値で補正した計4つの要因で検討した結果,propranololLA投与群の収縮期血圧におけるRange,S.D.においてのみ有意な変化が認められたが,血圧下降度および血圧の変動性では両群間に差はみられなかった. 副作用については,両群2例ずつみられたが,特に重篤な副作用はみられなかった.
以上から,propranolol徐放製剤は1日1回の服用により,propranolol通常製剤1日3回服用とほぼ同等の効果が得られるものと判断された.