1984 年 16 巻 1 号 p. 17-25
乳児期早期に, 多彩な心室期外収縮や心室内刺激伝導障害を呈し, 心室細動を反復して死亡した3例と, 同様の心電図所見を示しながら恒久的ペーシングにより救命され, 2年後に治癒したと思われた1例の計4例について, 臨床経過,心電図所見および刺激伝導系の病理所見について検討した. その結果, 心電図所見と病理組織上の刺激伝導系の病変とは, ある程度の対応も考えられた. つまり,4例を, 心室細動発生までの経過からみて, 期外収縮主導型, 徐脈主導型ないし中間型に分類できたが, 期外収縮主導型の1例では, 心筋内多発小壊死巣を, 中間型の2例では, 心室内刺激伝導系の間質浮腫と細胞脱落を主として認めた. そこで,心室細動の誘因としての刺激伝導障害の意義とその治療法としての心室ペーシングの有用性とについても考察した.