心臓
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臨床 乳児期の大動脈縮窄複合に対するバルーン拡大術の経験
木藤 信之袖山 淳子西 猛宮沢 要一朗宝田 正志大川 恭矩赤坂 忠義須藤 憲一長田 信洋伊藤 健二
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1984 年 16 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

大動脈縮窄複合の乳児2症例に, Gruntzigカテーテル(バルーン径3.0mm,5気圧) でCoAの拡大術を行った. 症例1は, 平均圧での CoAの圧差は 16mmHgから 9mmHgに下降し, CoAの径は2倍に拡大した. 症例2は, 収縮期圧での CoAの圧差は 18mmHgから 5mmHgに下降し, CoAの径は 1.2倍に拡大した. しかしながら臨床的には症状の改善は顕著でなかった. 2例とも拡大術後に VSD閉鎖術を行った. 大動脈縮窄に対するバルーン拡大術は, 1979年, Sosらの剖検標本に対する拡大術に始まり, Lockらの動物実験や, 臨床応用が行われるようになった. バルーン拡大術を行うにあたっては, 造影によりCoAの形態を検討し, 適応を決定する必要がある. バルーン径は CoA径の 2.5倍位が適当であり, 拡大圧は少なくとも5気圧が必要である. 外科的治療と比較してその有用性を評価するために, 今後も多くの症例を経験する必要があると思われる.

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