抄録
Opiate receptorの遮断剤であるnaloxoneの心原性ショック治療への応用の可能性をさぐる目的で,麻酔イヌでの冠状動脈内protease注入による心原性ショックモデルに対するnaloxone静注の効果を検討した.
Naloxone25μg/kg以上で大動脈血流量は増加し,10μg/kg以上で血圧は上昇し,総末梢抵抗は25μg/kg以上で増加し,Vmaxは25μg/kg以上で増加した.心拍数はほぼ不変であった.
以上のことは,naloxoneが末梢抵抗血管の収縮作用と心筋収縮能の増加作用とにより心原性ショックを改善せしめる方向に作用することを示唆する.