抄録
先天性完全房室ブロック10例,高度房室ブロック1例を対象に運動負荷に対する反応を調べた.全例でSheffield法によるtreadmill負荷を行い,2例で耐容時間の低下を認めた.このうち1例は心房拍数の上昇に比べ心室拍数の上昇が劣った.5例で心カテ中にエルゴメータ負荷を行った.負荷による心拍出量と酸素消費量の増加の関係は全例正常であった.しかし,肺動脈襖入圧の上昇と一回拍出量の増加量との関係では04例で正常範囲内であったが,1例で肺動脈懊入圧上昇のため正常域を脱した.全例で左室駆出率は上昇したが,その大きさは1例で0.12で,他は0.02~0.03であった.以上より,本症では心室拍数の反応の悪い例の耐容時間が短く,多くの例で潜在的な心機能の低下ないし予備力の不足の存在が示唆された.