抄録
近年膜型人工肺を用いた呼吸補助, ECMOの臨床例は増加しつつあるが, その成績はいまだ良好とは言いがたく, そのために適応が制限されているのが現状である.
症例は手術時月齢2.5カ月の女児で, 高肺血流型VSDの診断のもとにVSDパッチ閉鎖術を施行した. 術後bronchospasmsおよびtracheomalacia に起因する重篤な急性呼吸不全から心停止をきたした. 人工呼吸は全く無効であり, 強力な呼阪補助を行わない限り救命し得ないと判断し, 緊急にECMO を開始した. ECMO開始直後から血液ガスデータおよび血行動態は著明に改善し, 蘇生に成功した.16時間後ECMOからの離脱に成功し, 呼吸状態はその後も安定した状態を示した. しかし心停止時から発症した急性腎不全に対し血液透析を施行したところ, これに合併した急性代謝性アシドーシスにより失った.
このような緊急ECMOの施行は, 現行のECMO 適応基準に含まれておらず, 今後新たな適応基準の1つとして考慮されるべきであると思われる.