心臓
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症例 心原発の悪性線維性組織球腫の1例
後藤 秀夫下尾 和敏北村 浩一高田 治田中 基夫東 秋弘井上 直人大森 斎井上 大介古川 啓三朝山 純勝目 紘中川 雅夫浦田 洋二田中 善紹落合 正和
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1989 年 21 巻 3 号 p. 331-336

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抄録
心臓原発の悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocy toma 以下 MFHと略す)は極めてまれな疾患であり,これまで本例を含め約18例の報告がある.左房および左室に認めた自験例と共にこれまでの報告例の臨床像の検討を加え,報告する.
症例は49歳,女性.昭和61年3月頃より労作時呼吸困難で発症,徐々に増悪した.心エコー図では左房粘液腫が疑われ,心臓CT検査では左房および左室内に陰影欠損を認めた.開心術施行し左房および左室内に腫瘍を認めるも部分切除にとどまった.その後,腫瘤エコーは再度増大し,心不全症状も増悪した.化学療法施行するも効なく術後2カ月半で死亡した.剖検所見では左房内に表面平滑な径3cmの球状腫瘍を認め,腫瘍の基部は左心耳内に充満し,左房後壁を貫き心外に浸潤していた.僧帽弁および左室前乳頭筋は一部表面不整な腫瘍に覆われていた.組織学的所見では多型性を示す細胞を腫瘍内に認め,MFH,myxoid typeと考えられた.
20報告18症例の検討では,女性に多く,30歳前後と60歳台にピークがみられた.好発部位は左房で,特に後壁に多い.治療では,外科的切除,化学療法,放射線療法が施行されているが,無効に終わることが多く,極めて予後不良の疾患といえる.
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