抄録
イヌ生体位心において180分間の左冠動脈前下行枝結紮時および再灌流後の不整脈の発生,心室細動閾値・心室筋不応期の変動に対するthromboxaneA2合成阻害薬(DP-1904)の効果を検討した.
冠動脈結紮後に自然発生する心室細動や心室頻拍はcontrol群の56%DP-1904群の29%にみられた.Trainpulse法による心室細動閾値はcontro1群で冠動脈結紮後低下し30分後には28±5maが15±11ma(p<0.05)となったが,DP-1904を冠動脈結紮前に100m2静脈内投与した群では28±4maが27±4maとなったのみで,両群には有意の差があった(p<0.01).両群ともその後冠動脈結紮時間の経過とともに心室細動閾値はしだいに前値に戻った.再灌流後は心室細動閾値は急速に回復した,Contro1群では心室筋不応期は冠動脈結紮時に虚血領域で短縮し,非虚血領域の不応期との差dispersionは7±9msから30分後32±18ms(p<0.05)へと拡大した.しかし,DP-1904群では2±4msから10±9msとなった(n.s.).
以上,thromboxaneA2合成阻害薬は心筋虚血時の自然発生不整脈,心室細動閾値の低下,心室筋不応期のdispersionの拡大のいずれも抑制し,心筋急性虚血発生時の不整脈の予防に有効であると考えられた.