心臓
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症例 著明な冠状動脈石灰化と僧帽弁閉鎖不全および大動脈弁閉鎖不全を合併した大動脈炎症候群の1例
田端 達生有田 幹雄秋津 嘉男友渕 佳明山本 勝広上野 雄二西尾 一郎増山 善明
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1989 年 21 巻 4 号 p. 465-469

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抄録
症例は53歳女性.15歳時心雑音を指摘され,44歳時左片麻痺が出現した.昭和60年11月5日,労作性呼吸困難を主訴に当科へ入院した.入院時,脈拍は毎分55で不整,血圧は右上肢176/40,左上肢190/50,両下肢140/50mmHgであった.頸部ならびに腹部に血管雑音を聴取した.心尖部に収縮期雑音(III/VI),拡張期雑音(II/VI)を聴取し,左半身の不全麻痺を認めた.CRPは陰性,赤沈は1時間値12mmと炎症所見は認められなかった.胸部X線で心胸郭比64.8%と拡大がみられ,大動脈および冠状動脈の著明な石灰化が認められた.心電図では心房細動,左室肥大を呈し,心エコー図にて僧帽弁弁尖の肥厚が認められ,ドップラー法にて左房内に逆流が認められた.心血管造影検査では,大動脈弁にSellersll度の逆流と僧帽弁にSellersIV度の逆流を認めた.また左・右冠状動脈の著明な石灰化と,その起始部に動脈瘤様拡張病変を認めた.大動脈炎症候群に僧帽弁膜症を合併する頻度は3-7%と少ないが,本例の僧帽弁変化は本症による炎症性病変によるものと考えられる.一方,冠状動脈病変を合併する頻度は10%程度であるが,著明な石灰化がみられたとの報告は少なく,大動脈炎における一連の炎症性病変によるものと考えられる.
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