抄録
心臓腫瘍は極めてまれな疾患で,本症の術前診断は,従来,困難であると考えられていたが,近年の画像診断技術の進歩により心臓腫瘍の非侵襲的診断が可能となり,診断は容易となってきている.すなわち,心エコーによる診断の有用性は数多く報告されているが,今回我々は,MRIが画像診断上,非常に有用であった右室線維腫の1例を経験した.症例は心雑音を主訴とした8歳男児で,心エコー,MRI,心血管造影にて右室腫瘍と判明し,体外循環下に腫瘍の完全摘出に成功した.組織は線維腫であった.心臓線維腫の検索し得た本邦報告24例も交えて,若干の文献的考察を加えた.